【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
いていったりした。空洞の周りで子供たちはどんぱちしているし、どんぱちしている子供たちもまた空洞だった。

 眠っている僕に気付いた彼女が一人の女子を連れてきて「彼女がアメリアよ」と言って僕に紹介したけれど、僕と彼女はいっかいもそういった行為にいたったことはないし、きっとこれから先もそういった行為にいたることはないのだろうと思うので、彼女は「アメリア」役に過ぎないわけで。

 借り物の名前は借り物固有名詞で、もしかしたらそれは「0」を免れているのかもしれなくて、「アメリア」役の女子はいつか「アメリア」に自分の役柄を返さなくちゃならないんだろうけれど、返せるってことは「0」じゃないってことじゃ
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(15)