【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
ようとした、こんどはうまくいって、けっきょくバカみたいなのは(一条「ホーキンスさん」初出、全文)


+++

 朗読を終えた子供たちの周りでは朗読を聴いていた子供たちが喝采の拍手を行っており、鳴り止まぬ右手と左手の悲鳴を背景に死んでしまった一人の男子をホーキンスさんに見立てた葬儀が粛々と公園内では執り行われていた。

 彼女は相変わらず煙草をわっかに吐き出し続けていて足元には吸殻が教会に行く前より増えているから、僕はおしっこに濡れた靴やズボンの裾のべとべとを意識的に無視してさっきよりも八倍に増えた子供たちの群れに入っていった。

 公園の地面には水玉の
[次のページ]
   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(15)