【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
正気なのです、ただ人生のステップアップに失敗して、いまはこんなすがたなのにあなたたちになにかを言おうとしてるのです
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その日は朝になってアメリアが目を覚ますと家にはだれもいなかった。ほんとうにここにだれかいたのかしらとアメリアは思った。もういちど寝ようとしたけどうまくいかなかった。もういちど寝ようとしたけどやっぱりうまくいかなかった。アメリアの部屋にはだれもいなかった。アメリアは起きあがるとホーキンスさんがむかしくれた手紙をつくえから取り出してよみはじめた。それはお母さんが昨日くれた手紙とまったく同じないようだった。アメリアは読みおわるとバカみたいって言ってもういちど寝よう
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