【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 

この詩を読むという行為は、座り込んで石を並べている一条さんの向かいに同じように坐って、僕もじっと石を並べるのを見ていることだったような気がします。
(右肩・レス、一条「ホーキンスさん」)





(1)

ホーキンスさんの顔はくしゃくしゃだった。ホーキンスさんをみているとこれくらいの年齢で人生を終わるのが楽ちんかもしれないと思った。外はまっ白になる一方で夕暮れになるとみんながそそくさと帰ってしまうこともしかたがないと思った。ホーキンスさんが眠りにおちるとあたしはアメリアを抱いて病室をあとにした。帰り道に厚手のコートが落ちて
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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