【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
空っぽだったけど彼とあたしはそれぞれ未開封の缶コーヒーをもらって温かく飲んだ。一本一万円の缶コーヒーの味がする?ってあたしが訊くと彼は神妙な顔つきだったので煙草の煙を吹きかけてやった。煙はいつもわっかになってあたしたちの周りに溢れている。カモン、カモンとさっきより四倍になった子供たちの何人かがわっかになったそれに
つかまった。

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?新聞紙で兜を作るという”昭和初期”の習慣を「今っぽく」見せようとする話者と、その状況的な面白さ。
?みんなでスペースシャトルの打ち上げを見守った後、「うちゅうがどこにあるのかだれもしらない」などといったナンセンスとイノセ
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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