批評祭参加作品■回り道、つぶやく。 ??五十嵐倫子『空に咲く』について/岡部淳太郎
 
方が成されているのだ。つまり、「死」というものを中心にして、語り手の心がぐるぐると回っているような印象を受けるのだ。「死」を中心軸にして動いているから、どうしても「死」から逃れられないし、どうしても「エマの死」へと回帰せざるをえないような構造になっている。


今日なんだか悲しくなった。
茜色の空を見たとたんに
この感じは
そう
たぶん
きっとね、死んだ人の悲しみが映っているんだと思う
残していく人を想って
どうか深く悲しまないようにって祈っているんだと思う
それが茜色に染まって 私の中の霊がふるえるんだ

だから友達みんなにメールを送るよ


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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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