批評祭参加作品 ■ 詩友への手紙 〜この世を去った友へ〜 /服部 剛
 
 今日の仕事帰り、電車を降りた後に歩道橋で立ち止ま
り、数日前にこの世を去った君のことを考えていると、 
静かな雨が降り始めた。昨夜のBen’sCafeでそ
の知らせを聞いてから、僕はその事実をどう受け取れば
いいのかわからなかった。君はこの地上から見えない場
所に、隠れてしまったかのように感じる。 

 君と出逢った頃に、Ben’sCafeのガラスの壁
の中からこちらに手を振る君の姿や、大学卒業後の進路
について悩んでいた君と飲み屋で語り合った日を思い出
している。あれから君は、僕の想像を超えた闇に幾度も
抵抗してもがいていたのだろう・・・ 

 君がすでにもういないと
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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