批評祭参加作品■食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−/大村 浩一
ても狡くなり
#何もかもを忘れている素振りで
#浅く眠りながら
#眼の奥で望んでいる夢を一つ見ている
最終第8連は、この内面の勝利を追認して終る。最後の1行が、ここまでの
経過を締めくくる格好で置かれている。
* * *
難解な部分のある詩だったが、重層的で精密な表現であったため、アタマの
悪い私にもどうにかここまで読み解く事が出来たし、そうした読み込みに耐え
る、面白くて優れた詩だった。今回のが見当違いの解題だったら、どうかお許
し頂きたい。
全体に硬質な言葉を選び、下卑た解釈や描写を拒みながら、人間関係の精神
的な、内的な虚構性に迫った詩だと
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