■批評祭参加作品■詩の読み方について/岡部淳太郎
 
っすぐ伸びる道を、カメラは進み始める。その先にいったい何があるのか。視点は道をまっすぐに進んで山を登り始めるのか。それとも、ふと立ち止まって左右を見渡すのか。観客はオープニングシーンからつづくであろう光景を想像して身構える。つまり、それは散文性を了解して見ているということである。ここでは、映像と観客の間に齟齬は生じていない。映像は散文脈で語られ、観客も散文脈に則って見る。だが、ただ一枚の絵画に対して、観客はその先の展開など期待しない。散文脈のルールで絵画を鑑賞する者など存在しない。ただそこに描かれているものを見て、味わうだけだ。詩が散文脈からかけ離れたふるまいを見せる時、詩を一枚の絵画を見るように
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   グループ"第2回批評祭参加作品"
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