詩想 ?2/黒乃 桜
 
、と思い出した。
昨日のお兄さん、どうしてるかな。何てどうでも良い事を思いついた。
顔に「今から死にます」と書いてあるように思わせたあの顔。思い出してくすくすと笑った。

「本当に死んでたりして」

ああ、もうどうでも良いのに。
呟いて、一人で笑って、またベッドの上に蹲る。
横を見ると、邪魔なグランドピアノがそこにいる。
広いはずなのに狭く感じるのはそいつの所為だった。
お前もどっかいけよ、と思いながらピアノに背を向けて目を閉じたのだった。


鏡の向こうにいる情けない顔をした自分を見て、由夜は溜息を零した。
家に帰って真っ先に、このきったない顔を洗ったわけだが。

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