詩想 ?2/黒乃 桜
 

別に、好きでも嫌いでも無かった。
小さい時からそれをやっていて、ただ人より上手に出来ただけだった。
劣等感を感じて、辞めちまえ、と罵る輩の気持ちが痛いくらい分かってしまったのは
それから何年と経った日の事だった。
誰かと比べて自分の能力の低さを思い知ったわけでもなかった。
ただ呆然となった。ただ呆然と、そうか楽しくないのか、そうか好きじゃないのか、という事を思い知った。
それがなぜだか酷くショックなことで。もう全て投げ出してしまった弱い人間だ。
心のどこか、そんな風に自分を蔑みながら、どこかの誰かから送られてきた新品の青いマフラーを見つめた。
勇気なんてそんなもん、知ったことか
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