面接(10)/虹村 凌
 
 心臓を氷水の中にぶち込まれたような感覚に襲われて、目を覚ました。悪夢みたいなものを見た気がするが、どんな夢だったか思い出せない。心臓が 物凄い速さで、波打っている。喉がカラカラになっている事に気付き、背中に張り付いたシーツと、薄い毛布を引き剥がし、冷蔵庫の前に立つ。中に、何が入っていたか、思い出すのに、少し、時間がかかった。牛乳は、まだ賞味期限が切れていなかったはずだ。

 職場に立つ。彼女は、先にいて、なにやら忙しそうに働いている。一瞬、目で追ったが、いつもの俺であれば、そんな真似はしない。静かに、自分の職務を全うするのみ。昨日までの自分がどんな人間であったかを思い出すのは、容易な事であ
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