面接(14)/虹村 凌
 
 白く濁った煙が、窓の外へと流れ出ていくのを、じっと見ていた。下腹部をウェットティッシュで拭き終わった女は、俺の横で椅子に座り、マルボロライトに火をつけた。
「ねぇ、さっき何ていいかけたの?」
「ん?」
「今でも、って言ってたじゃん」
「さぁな」
「今でも、好きなの?」
「知らねぇよ」
 女の横に椅子を並べて、その女の顔に煙をふきかける。実際、何を言おうとしたのか、よくわからない。別に嫌いになった訳じゃないけれど、付き合ってた訳でもないし、確かに好きは好きだけど、それが「愛」なのかと聞かれれば、どうも違う気もする。「隣人愛」ほど、平たい意味ではないけれど、「愛情」とも違
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