面接(4)/虹村 凌
 
 別に、泣く事を堪えていた訳じゃないと思う。感情を押し殺して生きていた訳じゃないと思う。ただ、感動する事が、少なくなっていたんだと思う。何事にも動じない、と言えば聞こえはいいが、結局は無感動と言う、あまり褒められない精神状況であった。別段、感動する事を嫌っていた訳でも、軽蔑していた訳でも無い。ただ、泣く事が極端に少なかった。泣きたかったんだと思う。
 一度泣き出すと、しばらく泣き止む事が出来なかった。彼女は俺の髪の毛を左手で撫でながら、右手で俺の右ひざを叩いていた。何かが、どんどん解けていくような感覚が、胸の真ん中辺りで始まっている。冷たくて暖かいものが、心臓の周りをぐるぐると回っている。それ
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