その2俳句の非ジョーシキ/佐々宝砂
ているならば、ぎりぎりのところで切れ字のダブりが許される。「や」「けり」とふたつの切れ字がある有名句「降る雪や明治は遠くなりにけり」が名句として許されているのは、「降る雪」と「明治」という意外性のあるふたつのものが半ば強引に結びつけられ、しかも読者をどこか深いところで納得させるからである。こういう俳句を書くのは、当然のことながら、むずかしい。普通人が書くと、ただ単に余分な切れ字があるという感じになる。
だいたい「降る雪」という言い方ですら、俳句は嫌う。「雪」は積もるか降るか溶けるかどれかしかないからで、「雪」というだけでもかまわない場合が多い。「花」にしても同じで、「花」は咲くか枯れるかしお
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