その2俳句の非ジョーシキ/佐々宝砂
しおれるか、あるいは摘むか生けるかくらいしかないから、たいてい「花」と言って済ます。または「薔薇」など花の名前だけで済ます。わざわざ「薔薇の花」「薔薇咲く」「咲く花」「花咲く」とは言わない。まして「薔薇の木に薔薇の花咲く」とは言わない。それだけじゃない、さらに言葉を削りたがる俳句界の人々は、単に「花」というだけで「桜」を指すということにしてしまった。まあ俳句の人だけでなく普通の人も、意識せず「桜」のことを「花」と呼ぶ。「花見」と言えば「梅見」の場合もあるがたいていは「桜見」のことである(ちなみに「花」という全体の呼称で「桜」という一部を示すたぐいの比喩を「提喩」という)。この手の俳句的感性による省
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