その2俳句の非ジョーシキ/佐々宝砂
…」がまあよしとされているのは、それが、同じ季節のものとはいえ目と耳と舌とみっつの異なる感覚を並列しているからだと思う。「いぬふぐりたんぽぽ摘んで新入生」でいかにも「春!」だとか、「雪の中コート襟立てクリスマス」で「冬!」だとかいうのは、俳句というより季語を並べただけのものに過ぎない。似たような情緒を醸し出すものの並列を、俳句では「つきすぎる」といって嫌う。なるべく意外性のあるものをくっつけてみせるほうが、より俳句らしいのだ。短い字数の中に似たようなものを並べるのでは、字数がもったいない。
切れ字についても、似たようなことが言える。「つきすぎて」いなければ、つまり、意外性のあるものを並べてい
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