俳句の非ジョーシキ具体例6/佐々宝砂
句の師匠は、俳人は詩人より長生きだと言った。でもそんなことないんじゃないか、と私は思う。俳句の世界にも夭折の人は存在する。「しんしんと肺碧きまで海の旅」の篠原鳳作は30歳で死んだ。「ずぶぬれて犬ころ」の住宅顕信は25歳で死んだ。摂津幸彦は亡くなったとき49歳、それを夭折といっていいかどうか私にはわからない。しかし彼の死は、俳句に関わっているたくさんの人々に悼まれた。惜しまれた。1996年のことだった、私はそのころすでに俳句に多少なりとも関わる人間だったので、そのときのことを覚えている。あんなに死を惜しまれた現代俳人は希だろう。
冒頭にあげた句は、摂津幸彦の代表句ではない、と思う。単に私が好き
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