俳句の非ジョーシキ具体例7/佐々宝砂
 
行秋や抱けば身に添ふ膝頭 (炭太祇)

ところにより最高気温30度を越える場所があったりして世間は春たけなわなのだが、静岡の桜はやっと三分咲きというところで、佐々宝砂の気分はいつものごとく暗く(?)、なぜだか秋の句が身に沁むのであった。とゆーわけで春なのに非ジョーシキにも秋の句を選ぶ。今回は季節が非ジョーシキ。なんとなく思い深く、孤独で、淋しくて、身に沁みるのだからしょーがないじゃんか。「身に沁む」という言葉自体が秋の季語である。そんな気分のとき私が思い出すのは、いつも炭太祇の句なのだった。

炭太祇(たん・たいぎ。1709〜1771)は江戸中期の人で、蕪村よりやや年上。要するにまぁ大昔の
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   グループ"俳句の非ジョーシキ(トンデモ俳句入門)"
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