時の隙間/木屋 亞万
 
時が止まると
ほんとうに
すべてが無防備
動かない、だけでなく
浮遊している
力が働いたまま
宙ぶらりんの、世界

時が動いている、とはいっても
今、は
実は何一つ動いていない
のではないか

一度も定まったことのない未来へ
今だけを頼りに進んでいる
過去は確実に刻まれてはいるが
それさえどこに残っているやら

もしも自分が死んだときに
自分が死んだ瞬間の世界を
命の終わりとともに
切り取ることができたなら
その世界を私の世界として
譲り受けることができたなら
どれほど素晴らしいことだろう

生きている人たちは
変わりゆく今を楽しめばいい

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