言い換え
井岡護
そう確かに
大切なのはそれが成功であるのか
(白く軽く心細く白く混ざる)四肢の容積に値するのか
ということでした
私が裏切りに遭い私が手を伸ばすその時に先ず手に触れる
それは成功と呼べるだけの量や完成を押し出すのでしょうか
次の私という終始変動せぬ進行線は
成功を見込まれた量などにより
私の次の瞬間あるいはそれよりも長い間にどこへと移されていくのでしょうか
(先の先である座標を映す場所を少しでも想起できれば)
次の私の女性の私はその手に浮かべられた
(ほんの少しの波紋であろうと口にしない
本来の所有者に失礼でないようにと)
(ほんの少しの波紋であろうと口にしない)
歩く総称を2つに割り続けている
まずは単一であると言った事と色紙を口に含んだ者
次に前者からは口ひげを蓄えた緑と連鎖をむしる雄牛
後者からは声帯の柱と赤い瓶の青年
その乾いた指はそのままに右へ右へと捻り切ろうとする
そう言った回転を信じながら
目の前の知らない者がより近くにあろうとする
だが彼女の指は乾いた指はそれ以後在ることをしないのだ
進行線は前進と同時に削ぎ落とされる
私は動かない
女の次の錆びた紐は今でもそうです
鉄橋が帆船に潜り込んでいく時のように全ての部分と記された無数の山羊の塊によって
その玉座ごと背中を剥がされています
そして岩があの蝶へと渡っていくのを合図にして
私と天候は自分の中の大きな台形の中へ歩いていくのです
愚かとすら言えるこの疑似的な滑り込みの中で
柔らかい紐は私の姿から離れていけず雨の蓮の中を何処までも進みます
(鞣した蝶の目の前で)
やがて大きな音を立てて紐は
自らの置いた自らの中で座り込むので正義でしょう
そうした対角線に降り立つ時
人は解消を追う犬にでもなったかのような明白さを口にするのです
(もうこれが作り出されたのか作り出したのかといったことは無くなります
水と氷の区別があまり無い時のように)
では次のただ道を見るだけの鞄売りは?
歩き始めて間もない時には
前進せぬ侵入に対して無いという意味の振動しか発さないでしょう
それは自らであろうと湾曲が折れないためです
しかしそれが三日月の氷を口に含む時にそれは変わります
私の動かないシャツと鉄の机は
片方の掌ですくい上げることができる程に歌いだすのです
鞄をこしらえる彼の
(あるいは彼に触れるあらゆる物事の個別化された傷の)そうした波紋が
先の直接的な言葉の撹拌の中で何度も何度も述べた
強固な滑りへの沈下において遭遇する何度も何度も旋回し降り下り染み渡り乾いた
あの霧状の不可知をはっきり記憶していると
次に
通り抜けることの出来ない名前の付着した動物は
見つけ出そうとします
あの頭や総称の粉末が落ちていく場所を
1つで足りるものが歩いていった歩いていくべき場所を
名前を手がかりに私は探すのです
それには数多くのやり取りや呼び名が失われており
永く生きていることが洪水の頭上であるとしています
動物が辺りを見渡そうとする間に名前の右側は崩れ落ち
水ではないことを想像することでしょう
そして左側は木針を持つ砂塵となり
付着した私の中に流れ込んでいくのです
見知らぬ見ることの出来る彼の歩みへと傾く為に
雲に飽きた鮫が反対に前進すると
私の前の見知らぬ脚は白く熱を発し仰向けに倒れた持ち主の手を地に打ち付ける
動物が目を向けるよりずっと前に
白い平面はその顔の上に分厚く転写されていた
(道は壁へと一瞬にして経過したのだ)
四肢は歩くことも容易いほどに形作られ白さは目の前の者へと取り戻される
前進や滑り込みは
泡を吹きのたうち回る包丁に触られたようにばっさりと断ち切られる
(大切なことは老い
歌は発声により生ずるものとして再定義される)
以上の事柄が何によって起こるのかは誰にでもわかることであろうが
以上の事柄が何によって起きたのかは誰にもわからない
戻るというわけだ立派な四肢を持つ登攀の達人に
誰もが誰もかもが
そう
目の前の石膏を見ながら人は訝しげに思うにちがいない
成功であることが大切な
それとは何か
と
何回もそうであった
色の良くない空には
(もう一度という文面が消える事は無い日のようである)
一つの中にどれだけの砂が占めていたと
優しい指であったと
何度でも私は映し出されたそれらに問うのだろう
それは多くの島嶼であったと語るのだ
(算定の膜を絡めます)
土へと落ちぬ片腕を反対に裏切る氷に
自由詩 言い換え Copyright
井岡護 2010-02-16 22:19:17