ながいあいだおもいえがき
こころにだいて
よびかけたものを
いまはおもいだせない
すなのもじがかぜにけされて
あれちにはだれもいなくなった
かたすみにさくカタバミのはなににて
ねがいのよ ....
あるべき場所に
それは置かれている

拒絶ではない
豊穣のはての
姿なのだ

そっと手をあてれば
年月のぬくもりが
在る。
視線の先に
ころがっている
ビン
捨てられた現実を
超えて
光っている
劫初からの光を享け
光っている
ビンが在る。
手を握りしめる
懺悔でなく
まして後悔ではない
荒れた手を
その皺をつたう
しみる年月を
ただ握りしめる
切実にもつよく
握りしめる
細い手を
よわよわしい時を
迷妄のはての
 ....
向き合うということは
壁と向き合い
壁を見据え
壁を貫いてゆく
透徹した強い眼は
またそれほどにやさしいのだ

向き合うということは
眼に嵐がおこり
眼に海が満ちて
悔恨の情を絶ち ....
草の葉が
風にゆれて
風景と対峙する
その葉のさきに
とまる爬虫類の眼に
やどるのは人だ

さようなら

葬列のむこうへ
風はゆくが
寂寥とした気配に
残されたものは
石積み ....
先端へ向かう
先端にはぎりぎりの刹那がある
意識の
肉体の
先端には果てしない落下への幻惑がある
ありふれた机の先端にさえ
底知れぬ奈落がみえる
先端の先へさしだすのは祈りだ
それが無 ....
絶望で計ってはいけない
希望で計ってもいけない

私たちのうごめく場所は
あるいは
私たちのもがく場所は
もっと混沌として
もっと崇高な場所なのだ

もし計らねばならぬとしたら
そ ....
緑色をぬる
たとえば葉の緑だ
黄色をぬる
それはレモンの黄だ
背景に街のグレーか
あるいは部屋のセピア色をぬる
中央に常に不明のオノレを描く
抽象への誘惑をしりぞけ
克明に過去をさかの ....
なんにもない
空のなかを
泳ぐ

幼かったころ
なんにもない
海で
泳いで笑った

なんにもない
空のなかで
かぎりなく深く
すがる岸もない

なんにもない
空のなかを ....
走る犬に
舞い上がる砂
崩れ落ちる地を
超えて走りぬく

灼熱の下
疾走する犬は
帰らない

羨望と化す犬の走りに
もうどんな言葉も
とどかない

ただ生きることで
応える ....
地平線の向こうに
沈みゆく陽の輝きをうけて

盲目のピアノがある
そこから
三歩先に
思い出を失くしたチェロが腰掛けている
盲目のピアノと
思い出を失くしたチェロとの
ちょうど
五 ....
布を
紡ぐように
想いと
想いを
重ね合わせて
あなたと
わたしの
生を
紡ぐことが
できるでしょうか

なんにもない
白い
世界に
鮮やかに
血のような
朱色の
時 ....
光は
はじめ
緑の葉の露をはじき
眠る子の
夢をくぐる
やがて
君の眼にやどり
始まりを告げる
その
光は
ふかい深い
闇のなかから
唐突に生まれる
まるで
遠い約束のよう ....
降り散る花びらに
かさなる喪失の想い
追われるように生きて
空がみえない

降りそそぐ光に
かさなる明日への想い
叫びをこらえるように生きて
今日がみえない

そして
かけがいの ....
桜が水の上に散ってゆく
不思議にあかるいその流れのように
生きられればいい。
陽炎のなかでゆらぐ
私を呼ぶ声がする
ふりむくと
呼んでいる私がいる

陽が奈落へ落ち
街が色彩をなくしてゆく
すべてが風のながれのなかに消えようとする
きっと思い出されることのない風 ....
雨が降る
重く沈む大地
佇む電柱のむこうに
荒れた風景がひそんでいる
降り続く雨に
思い出が
霞む
やむことのない
雨音の隙間で
ひっそりと
時が無言でいる
今が幻のようだ。
 ....
窓から降りそそぐ光に
神の手をまねて
祈りを添える
風が始まりのように吹いてくる
命の悲鳴を聞くまえに
私たちは
ドアを開けて
地平線へと向かうのだ。
蹲る人がいる
外灯に照らされる
忘れられた石が
暗い道に耐えている
重い屋根の向こうに
ゆっくりと日が昇り
外灯が姿を消すころ
蹲る人は
石から
蕾へと
その内実の
姿を変えてゆ ....
ねぇ
あの人は眠ったのかしら
身の丈ほどの花にかこまれて
私は帰るところに迷う
私の頭の倍ほどもある
菊科に似た花に息苦しさをおぼえながら
それでも
どこへいけばいいのか
わたしは進む ....
かげろうのように
まなざしが彷徨う
冬のやわらぐ日差しのしたを
梅の木のみえる道をゆく
いくつかの季節のかどをまがり
いつのまにか
長い影が畦にのびる
ふりかえれば
遠く
畑のむこう ....
踏み締める靴底の下に
草の命
流れ去る雲のように
一日が過ぎようとする時
時の重みの下に
群生の花
一日が
暮れてゆくやさしさで
満たされてゆく時
限りない
いとおしさで
今日を ....
過ぎ去った日が
空に帰る
桃色の囁きが枝にゆれる
泳ぐ手が雲の向こうに消えて
祈るように風が舞う
誰かの嗚咽がピアノソロのように聞こえる
確かな足取りで
その塀の向こうを通り過ぎていった ....
地に根をはって生きる
ということはない
アスファルトの厚みほどの
喪失がある

それでも
浮遊する心を抱いて
在り続けようとする意志に
命の根を見る

私達は
花のように
咲く ....
そばに
空を映す
手鏡の面

扉のない部屋の中で
人知れず
鳥になる

面の中を
千年の時の重みに耐える私が
飛び去って行く

誰もいない部屋の中で
温かな記憶が
私を探し ....
石に花をそえる
草をなでる風がそれを愛でる
遠い記憶

時が冷える
夢はとうに凍えている
窓に朝の光

手の平で顔をおおう
指の隙間から溢れてくる光
生きよう。
あなたは
バラのような記憶を抱いて
荒地の横を過ぎる
長い影を連れて
彼方に
コスモスの群れ
秘かに
許されて在る
今日という日を讃えよう。
光が背後から打つ
日が終わろうとしているのだ。

空は私たちの絶叫で赤く染まる
寂寥として風がゆくなか
君の微笑みだけが
春を告げるようだ。
光は
神殿の回廊を
巡ってくる

空は
重い記憶を消して
蘇生する

地には
新しい
人の気配がする

雨は上がったのだ。
Etuji(61)
タイトル カテゴリ Point 日付
明日自由詩308/5/11 21:12
自由詩408/5/4 20:19
ビン自由詩008/5/3 21:00
握りしめる自由詩608/4/26 20:52
向き合うということ自由詩108/4/25 22:06
さようなら自由詩808/4/24 22:05
先端自由詩108/4/19 20:50
測量自由詩208/4/17 20:12
自由詩208/4/17 12:40
なんにもない自由詩108/4/13 22:16
走る犬自由詩108/4/13 14:14
演奏会自由詩508/4/11 21:04
自由詩108/4/7 22:06
約束自由詩308/4/6 20:27
呼びかけるもの自由詩308/4/4 20:35
自由詩408/3/30 13:13
遠い風景自由詩308/3/30 10:31
自由詩508/3/23 20:10
果てしない旅自由詩208/3/22 20:36
蹲る人自由詩108/3/21 14:35
自由詩308/3/18 13:37
過ぎ去った日自由詩208/3/18 13:10
一日自由詩208/3/16 14:43
明日へ自由詩508/3/12 20:38
花のように自由詩208/3/9 21:15
日曜日の午後自由詩408/3/9 21:07
朝の光自由詩908/2/24 20:54
ある日自由詩108/2/23 13:48
二月自由詩208/2/21 14:35
雨あがる自由詩108/2/10 14:45

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