私はこいぬにサワレナイ
こいぬはある日詩集に収められ
翌日は小説の頁の間にはさまっていた
こいぬはどこへでも出かけてゆき
街ではスピーカーから聞こえてきた
カメラを覗くと
かな ....
クロよ、力ある大地よ
お前はどこに潜むのか
ジュラルミンの光沢の
曲面的な不均衡のうちに
やすらうことなくトドマッテイルノカ
カルキが抜けた
瓶の水の
ユレル水面に
真っ赤に咲いたチン ....
投擲の技法は きしきし軋る
扉を開け放ち 敷居を踏み越える
その一歩の向こうに 何かの存在を
期待 期待――淡い――気体の
薄まりゆく 酸素の海の浸透圧を
白砂のビーチへ 辿る雪道
帰り途 ....
あなたに手紙を書きます。
窓枠に残った蝉の脱殻が
妖しく光ったような気がして、
不吉な予感とともに目が覚めたのです。
脱殻はピアノを弾くかのように、
足を滑らかに動かせて、
....
嘔吐感はしる
千里の
おやすみなさい
矢の雨の
尖った星の角
小さい女
納屋
トタン屋根
洋館
紫陽花咲き乱れ
鶴降り立ち
彼岸花の雌蘂
メトロポリス
マルク ....
3月30日の夜空に あなたは「さよなら」を書いていました
11月10日の青空に 私はあなたの優しい筆跡を読みました
空の高みに遠く離れて 二筋のヒコウキ雲
交わらない線よりも 同じカンバスに ....
「街路樹」や 「庭木」のくびきを 解き放ち
色とりどりの 乾いた葉を 積もらせる植物たちよ
花や青葉と異なって 人の目を楽しませるためでなく
人の世を覆い ただ積もりゆく落ち葉たちよ
....
こんころこん
木枯らし吹いて
干柿カーテン
ゆらゆらゆれる
野良猫クロは
縁の戸袋
しとねに眠り
片目で窓を覗きみる
「入れてやろうか
クロ吉よ」
でもね、おまえは汚ら ....
詩を書くからには、鬼面人を驚かす詩句を連ねて
インパクトの代数学を徹底したいもの。
ある一連が詩の全体を包含し、ある一行が連の全体を包含する。
ある一詩が世の詩の全体を反映し、それをある ....
なん百キロの 距離を越えて
私のこの想い とどけ
逢うことは季節より 貴重で
まっすぐな 交歓を許さない
不器用で 生半な身体と
しばしば黙り込む こわばる精神と
それでもなお 越 ....
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