夕だちが風をおこす
わたしの中にはわたしを包むたくさんの気泡があって
ひしめき合い、じぶんのかたまりをばらばらにしている
夕だちのあとにふく風は、プリズムの階段に繋がっている
そんな寓話を ....
時とは寂しい
この地面に落ちていった葉っぱも
さわさわと生きていた
黄金色の頬を
なびかせているあの草むらも
あおくあおい雲を柔らかに包んでいた
てのひらもそうさ
結び合うことでかた ....
愛のかたちとか必要な言葉とか
そんなものをさがして生きてきたね
ふれあうことばかりに必死になって
重なりあうことが確かめあうことだと思って
そうじゃないんだ
きみがそこにいる
それをぼ ....
そこに淀みがあった
みづはやはらかくしづみ
つかるゆびを光りにくるめてゐた
果実をやはらかに剥くやうに
わたしのゆびは深みをさぐる
月ははじまりから明るく
ひとの輪郭をもちあぐる
また手 ....
この樹にとって僕は何であり
僕にとってこの樹は何であるのか
と
ポケットの中で問いつめたくなる季節がやってきた
僕が立ち去っても
鳥たちを集め
僕がゼロになっても
無の中で
散り続ける ....
たくさんのことがあった
毎晩 それをノートに綴った
ぼくの家は絵描きだったから
銀色のきれいなカブラペンをよく使った
ろうそくにともす
ぼわっ と
窓が染まり
瓶の中の蒼い影をもちあ ....
名前のない日はいつも
ぽっかりとあいた穴を避きてとほる
穴のうへをとほる 過剰な時間 と その欠落に
わたしはただ広く 穴をあけてゐる
名前のない日に
わたしはこう名付けられた
それか ....
私は白い風の一切れの布
陽に織られた交差のひとつ
あるいは帆として光りの波を漕ぐ
私は白い風の一切れの布
織り込まれた出会いの中に
これからゆく海の広さを知らない
だが私
人に羽織られ
....
手をあなたの腕に重ねる
たどる皮膚と凹凸と
なだらかな温度の違いが良くわかる
指をあなたの手のひらに
にぎりしめたね瞳の奥で
ぎゅっと そうぎゅっと
かさねたままの手を、五つの、指 ....
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