「冷蔵庫が壊れているから中に住みつづけることができないではないか」との鼠の苦情を戴いた。何やら冷気の確保に加えて光触媒の七色脱臭ゲルも必要だとか。そして奴らの私への攻撃が始まった。
身を切るよ ....
驟雨と不可視的な大気からの氷の噴霧によって
夏の果物たちはいっせいに腐りゆく
森の中
まだ碧々とした葉のはざまに立てば
濃厚なる芳香
甘酸っぱくそして酔いをひき起こす淫靡な ....
The wind blows into our subconscious love,
stroking its surface and revealing its shape.
We notice ....
そもそも
言葉というものが先にあったのか
ひとが自らを自動書記に設定したがために
言語というものが存在を始めたのか
そのようなことを考えているうちに部屋が一面ウサギの毛に覆われた
ふんわ ....
空落ちて青に融けゆく我が翼
The sky falls off Heaven
My wings, melting as if driven
Into the Blue
つま先の打ち ....
夜中の3時
ふと目覚めたあなたが言葉にならぬ言葉を私に向かって発する
私もまた
不完全な声の断片をあなたに還す
同意を求めるかのようなあなたの「ねえ」の
「N」と「E」のあいだにかろ ....
【Three Haikus about countless lovely bugs in the world】
【この世の愛すべき虫けらたちにおくる英語俳句】
On a rainy day ....
あなたはときどきわたしにいじわるする
わたしもしかえしに、あなたにいじわるしてあげる
つぶさに
そうやって自分が独りではないとたしかめているのだ
つぶさに
地を這うとかげのしたたかさを真 ....
その日
斜めの陽光が胸の中を通過するのを感じたわたしは
わたし自身も斜めになってみて
光を逆に通過せんと試みる
にじいろの魚を、瞳を輝かせる子供たちに売る怪しげな商人のようだ
絵の中から ....
夏のおわりが近づいたのだよと雷鳴が耳元で囁いた夜
わたしは小さなわたしの左の乳房にもっと小さな小さなひとつの石を見つけました
まるで岩陰に潜んででもいるかのようなこどもの石です
いつのまにこんな ....
乾いた呼吸を赦されぬわたしは
ひっそりと
森に息づく
指先をうねる樹の根へと触れると
わたしの左の乳腺がほの暗く湛えるひとつの塊を
まるで心の中のしこりが権化したかのような
小さく痛みをも ....
日が暮れた直後の、ざわめきの残る生垣に囲まれた藍色の小道を一人歩いていた子供は、ふと道を抜けた向こう側に小高い丘が月に照らされているのを見る。
此処は。
瘡蓋のできた爪先のじくじくと鳴るのを聞 ....
突如
神々しく鳴り響いた天上のドンが
稲妻をまっすぐに地上に振りおろし
老木をふたつに切っ裂く
紫色に光る因子を幾千、幾万と降り散らしながら
割れた老木の股から生まれたるは
....
年に一度
誰もが四つ辻をめざしてぞろりぞろりと歩む夜
街灯にホタル烏賊を吊るすのだ
あるいは吸盤のひしめきあう十本の足を木の枝にくくりつけ
青いその火を提灯にして巡礼の途につく ....
何も、語るな
何も、観るな
何も、何も聞くな
目と耳と口を
蜂蜜色の蝋で柔らかく塞ぐ
盲(めしい)て聾唖
甘い塊
盲(めしい)はMessiah(メシア)
無能の救済者
....
皮下に雷鳴にも津波にも似た不穏な違和感を覚えてつい先ほど解剖学研究所付属病院というところを訪ねたのだけれどそこで分厚い私の皮膚の中に針を差し込んだり青く光るメスのようなあるいは微小なるカメラのようなも ....
屠られたひとびとの笑顔が市場に並ぶ
敵対民族の屍の味はほんの少しターメリックの効いたエスニック・テイスト
最高級のラムにも似た風味です
幾千もの巻き毛の羊の穏やかな寝顔が軒先に吊り下げられるが
....
青緑の硝子片みたいな
ネオンテトラの眼球拾ったよ
空っぽの眼窩に嵌めこむと
清々しく涙腺から噴きだした冷たい水で
気持ちよく顔を洗う 身体を洗う
水晶体に泳ぐ魚のプリズム
禊の ....
オオカミの皮を被ったトイプードル犬と
ライオンのたてがみを纏ったペルシャ猫がやってきて
逆立ちをしながら訝しげに問う
お前は何故に逆さまでないのか?
お前は何故に柔肌を滑らせているのか?
....
天井裏の住人からいつまで待たせるのだという私信を頂戴したのだけれど私は彼女をそれほどまでに長い間待たせたのであろうかと頭を抱えた私の昨今の記憶は曖昧で彼女と最後にいつ私信を交わしあったのかは定かではな ....
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