なつかしさの中にあるのは
小さなベッドの隅で 身を縮めていた切なさ
冷たくなった背中に 毛布をかける人がいなくなった
打ち抜かれた心のたどる いつもの白昼夢
なつかしさを避けるの ....
夜の街を流れる 灯りたちのダンス
私達の体に流れているもの
街に流れているのは 星占いによって定められた
軽い運命たちのパレード
しかし その表面のさざめきの奥には
人の形など認めな ....
天空に差し伸ばされた腕
その指が指し示す星空の無限
「私に能力さえあれば それらにとどくはずなのに」
思いこがれるのではなくて
自分を その思いに乗せて鋭く放つ
その思いの苛 ....
小さな旅をした
友人の見舞いに
体の力が入らない休日の午後の旅
特別快速で2時間
刈り取られた田畑が続くぼんやりとした旅程
痩せた友人が微笑んだ
もう大丈夫だと
目 ....
この上私をせめないで
帰りの電車の窓に映っている自分の顔を見たくないのに見つめてしまう
おまえは疲れている、と確認するだけの私的な会話
ああ、この上私を責めないで
私はニュース ....
苛烈な夏の記憶で、まだのぼせている頭を
しとしとと冷ましてくれる午後の雨
熱いアスファルトに幼子が撒く打ち水のあわれ
小さな木陰からはみ出た肩を焼かれながら涼む老婆
グランドで叫ぶ少年 ....
私達はこんなにも美しい土地に生きている
森から抜け出したような おまえのやさしい歩く姿や
泉から湧き出しているような 子供達の笑い声
頬をなぶる風のような母親の言葉
季節毎の自然に課せ ....
必死に友達の表情を読み取って
投げられた言葉をジャストミートして打ち返して
返しそこねた言葉がないか、床をきょろきょろ見回す
少しタイミングがずれてもいいんだよ
ジャストミートしな ....
私は じっと心の奥底で
身を潜めていなければならない思い出
なぜ私が封印されたのか
もう忘れてしまった
ただ、私が想起のフィールドに
浮かび上がると
警報が鳴り響いて
私は再 ....
初夏の陽射しを やわらかく透す
けやきの葉
唇をかすめる毛虫たちの味覚
ほろ苦く 青臭い清冽
あるいは夏みかんの若葉
アゲハの幼虫
オレンジ色の角に
凝縮されていく鋭い香
....
天空から降りた一筋の糸
あるいは
雑踏の中に聞き取る 一瞬のメロディー
能力さえあれば それをたどって
空を駆け上り 己の核心へ
あるいは 命を揺さぶるメッセージへと
飛翔する ....
明滅する明かりたち
見下ろす微笑みのこわばり
この夜空へ飛翔しよう
嫌悪しつづけた
この街の甘く いかがわしく
何度も循環された 臭い
思い詰めた翼は
この街の微熱が起 ....
世の中との違和感に照準せよ
人々が称え 人々が愛するものに
腐臭を感じ取る己の感覚に照準せよ
受容と癒しが蔓延するこの時代に
もう一人 人知れず共感の群れに加わったところで
それ ....
都心の夜空にそびえ立つ
遥かなるバベル
地中から湧上る人々が
巡礼のように押し寄せ 群れる
その明かりの下には
塔を創った人間とはなんの関係もない人々が集う
現代のバベルに灯る光 ....
気持ちをなだめてくれる
けやきの葉たちの向こう側
濃い青の空に 夏雲が湧き上がって
激しい季節の予感
夏雲たちは 次々に力を秘めた体を起こし
見渡す限り 雲の輪に囲まれる
....
私 という空白
社会から割り当てられた 場所
私を入れる入れ物を作るために
駆使される規則
私という空白を
なぜ埋めなければならないのか
他のすべての生き物のように
....
無為に過ごした時間に 自分を責める
幼子の記憶に 今も悲鳴を上げている
だれにも認められないくやしさ
街で仲間が背を向ける恐怖
それらが一つになって
怒りになった
誰に向けて ....
終着の浜辺
そこで未来が終わる場所
たどり着いた人々は 待っている
時の呼吸が止まる予感
心地良く吹く海風が
凪ぐように
たくさんの思い出と祈りが
もはや何処へも流れ ....
時代の暗部ばかりを見つめているおまえに
癒しや救いを語ることはできない
たとえそれが99パーセントの真実だったとしても
人の心は、真実とは異なるものを求めているのだから
それが世の ....
下を覗くことも恐ろしい崖の淵で
座禅を組む
丸裸になって 下半身も丸出しで
座禅を組む
胸を張ると そのまま崖下へ転落してしまう
その恐怖の中で なお胸を張って
座禅を組む
....
食器棚の上で昼寝をしている猫のシッポが
だらりと垂れ下がっている
でもお刺身のパックを買い物袋から取り出しただけで
シッポはパタリ、パタリとゆっくり動き出す
どんな夢をみている ....
夜の気配に触れて
私の思いは
満点の星空へ解き放たれる
決してあなたの前では形にすることのない思いが
夜の冷気と慈愛の中
予期せぬ激しさで 身を起こす
果てしの無い天空に満ちた音楽 ....
もはや自分で立っていることができない
もたれあいの波
惰性と汗と酒臭い息にまみれた
終電から開放されて
深夜の自転車置き場にたどり着いた
鉄道の高架下に広がる広大な空間
明け方ま ....
森の中
木々を見つめることで開かれていく目
太い幹に彫刻された樹皮の模様
日の光の熱
季節の風が作った枝のうねり
いく層もの葉を重ね
一つ一つが異なる緑の天蓋
....
私鉄の午後のホームで
年老いた夫婦が楽しそうに話をしている
けだるそうにゆれて動き出した下り電車の中から
二人の柔らかな会話を もう少しだけ見ていたいと願う
40年も50年も連れ添 ....
道に小さな星型の花が降り積もって
オリーブの白い花が開花したことにやっと気付いた
道行く人々は、夏
明るいグリーンの実が、しなやかな枝でゆれはじめてから
オリーブに目を向ける
....
リズムに乗って
街のすぐ上をすべるように流れたい
どんな希望や失望の鉤爪にもひっかからず
どんな思いや願いにも留まらず
リズムに乗って
体に始めから満ちているリズムを人に伝えたい
....
肩に食い込むカバンを引きずり
やっとの思いで 夕暮れの喫茶店にたどり着く
でも
いつものコーヒーが いつもの香を運んでこない
この場所は 私を受け入れてくれない
その時
私の大好 ....
5月にしてはたくさんの雨が降った夕暮れ
その古びた小さなホールに、傘を差しながら集まってきた人々
住宅街の中にあるその建物は、粋な服装をした紳士のように
風格としゃれた遊びが調和している ....
心地良い音を立てて流れる小川に
5月の光が溶けてはじける
その中にひらめく小さな魚の影
黄金色の川底の砂に等間隔の影を落とす小さな群れ
風が作る小川の波紋に揺られて
魚の影もゆれ ....
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