鼻水をたらした子供が にこにこ笑いながら駆けて来る

すれ違うとき 私の胸に飛び込んで 溶け込んでしまった

子供は まだ 私の胸の中で 笑いながら駆けている

むくむくする 暖かさと 
 ....
もしもし、

ぼくは 周囲の人たちの期待に応えて構成された 架空の存在です
だから あまり難しいことを話しかけないでください

ぼくは 食事と排泄と睡眠と性交にしか興味がありません
だから ....
青い光を照射された 水晶の底
眼下の夜景には 星屑が撒き散らされ

脳細胞にまたたく 神経電流のさざめき
か細くも ひとつひとつの瞬きとノイズに 
担えきれぬ意味がこめられ

静けさと硬 ....
わたしがどれほど 傷ついていても
私の片方の目がつぶれ
全身に 治療のしようのない潰瘍が広がりつづけていても
この汚れた空に向けて
窓から この美しい蝶を放つ

この世界が どれほど汚れ
 ....
ささやかな行いが
悲嘆くれる人に ふと 息をつけるやさしい椅子となり
父母を失って泣く幼子の 風避けの布となり
飢える人のための 温かい一食となり
あるいは 氷河の溶ける速度を 一瞬遅らせ ....
ゆるくカーブする 地下道
湾曲する照明に 視線は導かれていく

低い天井の通路は ときどき分岐する薄闇から黒い人影を吐き出している

揺れながら近づいてくる人の視線は
私の背後 
どこま ....
耳をすませば
私の聞きたかった音が訪れる
自分の生きるリズムが回復する

聞こえる

私を 遠く 遠く 連れ去る音
私は なによりもその音をたどって 旅していたのだ

高原の森の中で ....
思い返せば
ほんとうにたくさんの思いを
あなたは 私に向けてくれていたのですね

あなたが黙って私を心配そうに見つめてくれる その時間は
なんと大切で この世に二つとあるはずのない 
 ....
滅びの匂いに 振り向く

あの人が漂わせていた 懐かしい腐敗の香り

滅びの一つ手前で彷徨う旅

熱病の中で自分の体温に 酔う
口の中に溢れた血の味
己を苛め抜くアスリートの興奮

 ....
子供たちの物語は
殺されてしまう

大人たちには まぶしすぎて 力に溢れ過ぎていて
胸に心地よく抱いておくことができない

子供たちの物語は 世界を壊してしまう

すでに流通してい ....
夜は 言った
静かに目を閉じていなさい と

不眠に何度も寝返りを繰り返すあなた

赤い南天の実に降り積もる淡雪のように
あなたの薄いまぶたに 冷たい手をあててあげましょう


 ....
夜の小さなカウンターで
 一人ぼんやり飲んでる

 酒を口に運ぶのも忘れて 大きな窓から街を見ている

 街灯は 光の届かない闇の居場所を示している
 光より闇にひかれる 人の顔など見 ....
気配を感じて

うなじの毛が立ち上がる

背後を探る 自分が持っているはずもない感覚を指し伸ばして


気配は やってくるのを待つしかない

訪れは 待っていないと やってこない ....
何かが跳ねた水音

台所のりんごの艶

潜水から浮上した一息の甘味

昼寝の毛布の襟カバー

よそ行きの母の匂い

真夏の木陰の濃い輪郭

光にかざしたビー球の幻惑

暗く ....
闇のプールに浸る

時が自分のためだけに流れる

目や鼻から押し寄せる 濃密な闇

浮遊するのは 思いがけなくも ちっぽけな世界
根もない つながる先もない

もともとそうであった  ....
鋭く口を開けた 激しい暴力の傷

穏やかな 美しい死が覗いている 傷口

きれいな肌 シミ一つゆるさない 美しさと健康
暴力と死を恐れる心が隔てていた 広大な世界

あんしんと安全と ....
クロスロードで おまえは悪魔と取引した
おまえのブルースは オレの魂を穴だらけにする

メンフィスからミシシッピーまで 綿畑のすべてが
おまえの深く深くつながった係累の 
血と汗と歯軋り ....
冬の白い陽射しに かすかに 力が込められた

木の葉を透かした光
春の芽吹きを予感させる 柔らかな緑が届く

晴れ渡った朝 昨夜までの厳しい氷風は 
少しだけいねむりをしている

人々 ....
滅びの香りがする 銅の食器で
焼きたてのパンと新鮮なミルクの朝食を取る

滅びは、この部屋の艶のある壁板にも
床の複雑な絵柄の敷物にも 住んでいる

ここでつむがれていく命

日の ....
浅い眠りから醒めると
海鳴りが 体を満たしていた

分厚い波が海岸を打つ重い震え
また ゆるやかに 砂の眠りへ引きずり込む共鳴

海辺の午後 
見知らぬ世界に降り立った身軽さ
過去を投 ....
地吹雪が去った夜
夜空に張った薄氷の中に
満月が封じられている

月の光は 
擦りガラスを透した霊安室の灯りのように
歪められ 動かない

風がどこかで身を潜めている雪原で 
針 ....
一度口にした言葉 やり直しがきかない
発した言葉には それなりの真実

勢いにまかせた言葉が 人を傷付け
おまえに言われた言葉は忘れないぞ
別れ際にそう言われた

あなたに贈られた言 ....
あの夏休み
部屋に引きこもっていた私を
あの童話が飲み込んだ

友人が大切にしていた全集

その中にあった 生まれたての雛ような輝き

部屋に立ち込めていた黒い霧を
物語の中にあ ....
まだ だれも起きださない早朝 
休日の弛緩の中でお風呂の湯に滑り込む

朝日が差し込むまぶしい浴室
光を吸って立ち上る湯気たちの 
白い粒子一粒一粒 
緩やかな螺旋の舞 

まだ  ....
小さな庭先に張られたテントの魔法
薄い布で閉じられた狭い空間は

大海に漂流する難破船
怪獣のひしめく密林の中の唯一安全な洞穴
敵宇宙船を前にした銀河パトロール艇

追いつめられた緊張と ....
モスクで無限に循環する神
完成されたこの世を称える歌
文明の始まりにして終着点
アラーの慧眼

だから アバーヤとスカーフから垣間見える 
美しい娘のまなざしが 
私に微笑んでくれている ....
壁に埋め込まれた青のガラス球が
深く次元を縫いとめて 
どこか知らぬ土地の街角を写している

白い壁に埋め込まれた青ガラスの半球は
日の光を浴びることができない
でも これ以上何処へも転が ....
しなやかな早足で
若い犬が旅をする

自分を妨げるものが
けっして後ろから追いつけない速さで

険しい瓦礫のスラムは
犬の柔らかな足先で
まるで草原を走るように乗り越えられる

強 ....
クリスマスに電車が止まる
たった一人のジャンプで

軽く舌打ちをするOL
どうして? どうして? と母親に尋ねる子供

どうやら その死はどこへもとどかないよ
 
小さなわがままと ....
魔女たちがめざしているもの

世界を見渡して揺るがない立ち位置
はるかな時間を超えても変わらない 
人の中にうごめく真実を見つめるまなざし

男達が作った社会のルールを
薄い紙のよう ....
いねむり猫(126)
タイトル カテゴリ Point 日付
ため息自由詩109/1/20 6:37
深夜の電話自由詩009/1/18 20:51
拡散する自由詩109/1/17 10:31
傷ついた世界 自由詩309/1/12 19:24
ささやかな自由詩309/1/11 12:47
午後の地下道自由詩108/12/31 12:23
聞こえる自由詩108/12/21 22:48
病室自由詩108/12/18 23:15
滅びの匂いに自由詩008/12/14 21:29
殺されている物語自由詩208/12/1 8:49
自由詩208/11/30 18:02
夜の椅子自由詩108/11/30 0:46
気配自由詩108/11/25 22:43
子供たちのパレット自由詩108/11/24 22:38
死に近い瞑想自由詩108/6/1 21:31
松井冬子 賛歌 自由詩108/4/21 0:09
ブルース自由詩108/3/2 22:13
白い陽射し自由詩208/2/17 9:23
ほろびの香り自由詩208/2/16 11:04
海鳴り 何も特別ではない一日自由詩208/2/3 23:47
凍った月自由詩408/1/25 4:34
やり直せないこと自由詩2*08/1/20 18:11
童話自由詩108/1/20 9:43
ミルク色の湯気自由詩108/1/19 12:24
テントの魔法自由詩008/1/19 11:47
モスク幻想 宝石のまなざし自由詩008/1/14 9:59
ガラスの風景自由詩108/1/13 22:20
若い犬の旅自由詩208/1/13 13:54
クリスマスのジャンプ自由詩208/1/6 12:11
魔女たち自由詩107/12/23 10:25

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