夕暮れどきの町なみは
どこかゆるんでいて
おだやかな顔ばかりが
すれちがってゆく
街灯が点灯し
一番星が顔を見せる頃
どこを歩いているのだろう
灯りの点いた家を探して
通り ....
口から父親がでてきた
誰かと口論している
何の話か分からぬが
絶対に引かせてくれない
目から母親がでてきた
誰も気づかない落ち度を見つけては
さりげなく手当てしている
細かな目配りば ....
カフェテラスの入口で
傘をパタパタしている
それは羽を休める鳥のよう
パタパタするのは
翼にあこがれているから?
風を感じてみたいから?
みんな
雨が降ると
パタパタしてい ....
ぼくは四角
ころころ
ころころ
いろいろなひとに
ころがされる
だけど
ぼくは四角いから
簡単には
ころがらない
だから
みんな
ちからをいれて
ころがすけれど
やっぱり ....
1.さめ
歯並び悪くて
口がきちんと結べません
だから、尖った歯を見て
みんな怖がるけれど
蒲鉾にされたりするものだから
これでも逃げ回っているのです
2.いるか
さあ ....
僕と
彼女は
横に並んで座っている
彼女の手に
もう一度触れてみようか
彼女はそ知らぬ顔で両手を隠した
交差点を
ひとつ ふたつ 通りすぎていく
貝のように閉ざされ ....
机の上に東京タワーの置きものがある
上部のとがった部分を
指先でつまんで
ひょいと持ちあげ
底の部分を見ると鉛筆削りになっている
小学校のとき母に買ってもらったものだ
東京タワーは大き ....
夜汽車が湖のほとりで
誰かを待っている
夜は静かに寝ているだけで
何も気づいていない
誰が予約したのか
夜汽車の切符を持ち
風がやってきた
誰が破いたのだろう
座席番号の部分が欠け ....
毎日が戦場で
しっかりと目を開いて
現実ばかり見ていると
ひとみが乾燥して疲れてしまう
だから そのたびに
まばたきをしてみるのだけれど
そんなとき一瞬
電車の車窓を見ているようで
何 ....
朝、部屋の窓を開けると
鳥がさえずっている
実はあなた
この鳥ではないですか
朝、食卓につくと
あじの干物がでている
実はあなた
この、あらわに開きにされた
あじではないですか
....
誰も ぼくのことを呼んではくれません
でも 一番初めにでていきます
けっして 前座のつもりはありません
なるほど メニューに僕の名はありません
ときどき 僕をいらないという人もいま ....
休園中の
誰もいない遊園地で
ひときわ大きく
一本のレールが
空に向って伸びている
カタカタカタ
カタカタカタ
レールの上を
ジェットコースターが
空に向ってのぼり始めた
....
春のおだやかな日溜りの中
土のにおいがわかりますか
春の息吹で
緑の香りに隠れた
土のにおいがわかりますか
あなたが今
しあわせを感じずに
春をむかえているのなら
この土のにお ....
冬の風が
冷たく街を冷やしていく
人けのない夜の風俗街
ぽん引きたちは
厚いコートの襟を立て
北風から身を守りながら
ポケットに突っ込んだ手で
何をつかもうとしているのだろう ....
ステンドガラスを通り抜けた
やわらかいひかりは
賛美歌によって
七色に彩られた
今、若い男女が
永遠の契りを
結ぼうとしている
その奥では
マリアの像が
首をかしげて
不安げに ....
大きな風が
ブナの木を揺らすとき
人は
何事が起きたのだと
ハッとする
でも
小さな風には
見向きもしない
なぜなら
人は
自分が
大きな風を
吹かすことばかり
考えてい ....
きらきら
点滅する
イルミネーション
黒く浮かびあがる
恋人たちの影
街はクリスマス
きらきら
点滅する
彼らの時間のなかで
もう
どのくらい
経 ....
ぼくの誕生は白だった
白は何事にも弱く
ちょっとした埃でも
すぐに汚れてしまい
“まぶしい純白 ”と言われたのは
ほんの一瞬だった
ぼくは
成長とともに
すぐに
泥水をかけられた ....
新雪が積もっている
よく見ると
小さな穴が
点々と続いている
それは
子供が通った足跡
ぼくは外へ出て
子供の足跡を
上から踏んでみた
ざく
冷たい空間を
ざく
....
僕は
子供の頃
父と母を見て
はやく
はやく
大人になりたかった
なのに
大人になると
一年
一年
と
何年、歳を重ねても ....
今日の仕事を終え
一歩会社の外へ出ると
じっと我慢していたものが
じわり じわり
からだから溶け始めた
都会の空は赤く染まり
ビルの頭のうしろへ
夕日が落ちていく
時のふりこは
....
追いかけても
追いかけても
つかまえられなくて
すぐそこに
あるように見えたので
ちょっと
手を伸ばしてみたけど
ちっとも届かなくて
とても
遠くにあるんだ
ということに
....
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