暖かくなり
花の春が始まったのに
氷雨と寒の戻りで
まだ緑はお預け
空を仰ぐ

日々世界は変わる
雪が雨になり
晴れて
春の始まりの筈だった

なのに
爆発と痛みが広がる地
 ....
春のぬるむ日
路地の軒先に咲く
沈丁花の香り

小さな花がたくさん付いて
ふわりと香る艷やかさ

焚きしめた香は好みかえ
そんな問いを空想する

ええ、ええ、
美しい香りですとも ....
まだ寒い3月
長居公園の河津桜は満開
だそうだ

見に行きたいと
瞬間思う

脚が迷う
起き上がって
動き出せない今
を思い出す
変われたらいいのに
元には戻れない

股関 ....
仕事終わったよ
今から帰る
おやすみ

そんなメールばかりだけど
言葉少ない彼からしたら
優しさなんだろう

仕事中に
泣き言メールをしたら
慰めて欲しいなんて
思うだけ

 ....
アルバムのモノクロ写真で
満面の笑みの父と小さな私
何枚も重なって
愛情も重なって
胡座の中で
不安の埃も入り込めない

家族の始まりは
おっぱいの匂いで甘くて
むちむちのころんころ ....
あなたとキスしていたら
 小さな痼を感じた
ああ私たちはこれで
   何もかもひとつ
愛の最高地点を掴んだのだわ
愛は濃密に撹拌されて
 喜びも苦しみも固まったの
  ✱
身体中に広が ....
誰もしないショートヘア
大きなフープピアスで
笑ってみせる

ストレート眉に
強めのアイメイク
萎んだ目元を開いてみせる

顔のシミも
暗いクマも
全部散らして
アップデート
 ....
夫婦ってなんだろう
子のいない私達には
いつのまにか日常と
習慣がかえって空気

あなたの中に
私がかすんで
当たり前の絵
私の中で息が
遠くなってる

あなたの裏切りを
泣い ....
 あなた、今日は遅かったわね
 どうしたの?

こんなにもあっさり
誰かと恋をして
背中の目を見ていない
あなたの恋は破滅の花
忘れかけてた情熱が
まだ叶うという勘違い
裏切られてる ....
季節外れに霧になって降ってくる
音も立てずに
信号機だけが明かす雨

空気が暗い
店の外灯がぼやぼやとし
雨脚が見えないまま
アスファルトを濡らして

春の雨は
雫のマスカラ
薄 ....
ふわふわの気持ち
あったかくて
やわらかい

手を握って
歩くのも
お互いの歩幅合わせて
時々くるくるよそ見して
置いていくよと
引っ張る手

待っていてくれる
待っている
 ....
寝ぼけて目を覚まして
何時、とスマホ見たら

コーヒー豆量って挽き
フィルター開いて
粉を入れてトントン
湯をトタトタと注いだら
ーー湯温は89℃でーー
マグカップに移す
  
  ....
さざめく沢の流れが鳴る森で
緑の葉、枝が重なるトンネル
梢の先から光の粒が弾けてる
森が眩しい青空を
カサコソ隠しているよ

土の匂いが
強く鼻にひびいて
トンネルを抜けたら
眼いっ ....
あつさにあてられて
からからに乾いて枯れていく


色んな人と交わり
同じ空間を囲んで
色んな話をしたり
時には
脛を合わせて囁いたり
口づけしたり
皮膜一枚の温もりに
互いを重 ....
喧嘩した翌日に
何の言葉も交わさず
倒れて入院し亡骸と
なって帰って来た、
胸はまだ命の温もり
を抱えていた
生きた残火で膨れて
跳ねて行きそうな体
大きな体躯を入れて
抑える棺桶は ....
南風が一気に吹き
布団を引きはがした

パジャマがバタバタと捲れ
下着までパタパタ
引き出しが
ガタガタ言っている

玄関扉が強く引かれ
掛けてあるジャンパーを
舞い上げ
帽子の ....
夢がたわみ
ぼんやりと浮かぶ
長い森の道よりも
穴の中が浅い驚き
が痺れて

夢が途切れ


朝食の時に
朝早く目が覚めると
妻に話したら
にべもなく
背中で
年よ、とひ ....
まだまだ寒いのに
君は咲いたんだね
小枝のように細くても
桃色の顔が映えて可愛らしい

小さな苗の君が
年とともに成長し
若々しい目をして
ひとつひとつ笑顔を開く
そのさまが愛おしい ....
春の息吹に乗る微粒子
乾いた朝でも曇る息
微細な空の揺らぎに
晴れも霞んでいるので
日が翳る

1ッ目のおばあさんが
足を引き引きもっさり歩き
折角の春の兆しが
煙にむせる

マ ....
洗濯機が開かない
開けようとすると
ダメだという
今の賃貸に暮らし始めた
戦友だもんな
おつかれさん

仕方がないから
コインランドリーで
入れて洗うだけなのに
恋人を待つように
 ....
まだ寒い気候が続き
山の向こうは雪だというのに
春が待ち遠しくて梅の花見がしたい
田舎の丘に固い蕾が付いただろうかと
そんなことばかり考える

春が来たら
何かが変わるかもしれない
や ....
毎日の汚れ
毎夜の穢れ
月夜の気だるさ
悉く泥だらけの
自分をスッキリ
洗ってしまいたい

まとわりつくことごとを
投げ入れて洗える洗濯機が
あればいいな

美しいあれこれに
 ....
あられ雪が帽子のつばで弾け
風は強くなってきた

小さな礫が降りしきり頬を打ち
道を流れる積りもせずに

寒さが身にしみる道で
人の夕べに立ち
黄色信号で止まる

流れるまま考えな ....
 日射しが強まり、ポタポタと雪が溶けて
ゆき、ようやく春がやってきた。
窓に打ち付けられた板を父が外したら、
部屋も目隠しを外したように、暖かい光が
入った。
土は肥料の臭いを纏い、
沢の ....
 学校帰り、町に一つしかない音が出る横断歩道を、
わざわざ渡って帰ろうとしたら、横断旗が誰かに
盗られて無くなっていたのでがっかりした。
通学路は神社の山を横に見て、帰る道には線路が近い。
金 ....
漕いで漕いで。ブランコで妹と二人きゃあきゃあ言っている。
高いとこまで漕ぐよ。姉妹で遊んでいた山里の小さな公園の遊具は、
ブランコと滑り台だけ。
公園は枯れた草でぼうぼうになっている。

初 ....
縁起の良い夢も
楽しい夢も
起きた途端に分からなくなる
蒸発するように
見た夢が思い出せなくて
面白かったと思いが数分続いても
続きが見たくても
思い出せないし

普段は夢を見てたの ....
少しずつ光が氷を解くとき
日は滝の苔を照らし
雫が次々に湧いて輝き出す
福寿草が開き始め
タラノキが芽吹き始めたら
厳しい冬も終わり
早春の風が吹き始める

長い冬の曇り空が
晴れや ....
暗い深海から聞こえる鳴き声
大きな羽ばたきで泡立つ中に
声は海原を渡り遥か遠くへ

唸る声、高い声、ひたすらに
長く、甘く、響き渡る

恋歌か子守歌か、
ゆっくりと波に揺られ聞こえてく ....
冷たい雨が降り始め
帽子が濡れていく間に
霙に変わって風が吹いた

喫茶店のドアを開けて
ホットコーヒーを注文し
窓際の席でカップの温もりに
冷えた体を沈めて外を見た

暗く落ちそう ....
伊藤透雪(38)
タイトル カテゴリ Point 日付
揺らぐ春自由詩3*26/3/9 10:52
沈丁花自由詩5*26/3/7 17:34
外に出かけたいのに自由詩3*26/3/6 12:48
生存確認みたい自由詩2*26/3/5 9:24
桃の節句に寄せてー家族自由詩2*26/3/4 14:47
薔薇疹Ⅲ自由詩1*26/3/2 16:59
アップデート自由詩3*26/3/2 9:39
薔薇疹Ⅱ自由詩2*26/3/1 14:45
薔薇疹自由詩2*26/2/28 18:42
春の霧雨自由詩7+*26/2/28 14:19
愛して愛してる自由詩5*26/2/27 13:53
コーヒー淹れて自由詩5*26/2/26 15:56
千歳林道自由詩4*26/2/26 15:14
塩っぱい足あと自由詩4*26/2/24 15:32
父の死と私自由詩7*26/2/23 10:23
春一番自由詩8*26/2/22 12:46
二度、三度、夢うつつ自由詩6*26/2/19 16:58
河津桜自由詩13*26/2/18 18:05
霞む早春自由詩4*26/2/17 11:59
洗濯機自由詩12*26/2/15 11:14
春を待つ自由詩10*26/2/14 12:42
洗ってしまいたい自由詩5*26/2/12 15:14
あられ雪の夕べに自由詩7*26/2/9 12:26
奔別Ⅱ自由詩5*26/2/6 18:53
幾春別自由詩4*26/2/4 17:53
奔別自由詩4*26/2/2 18:00
夢は蒸発する自由詩2*26/1/24 14:12
春待ち自由詩4*26/1/23 14:32
鯨の声自由詩126/1/21 17:27
ボタ雪自由詩2*26/1/19 16:45

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