泉涌寺の
 楊貴妃観音
 のお堂の前に
 春の日が暮れて

 ほのぼのと薄く紅
 開きそめて囁く枝の
 下に 微かな響き伝え
 息づいている空気が在る

 遠い春雷の 音ない震え ....
 気持ちの不安で落ち込んだり
 あるいは高揚感に落ち着きの無くなってしまう時
 深呼吸する
 そして私はシングルポイントの六角柱水晶を握る

 掌の柔らかい部分に三辺の角が当たり心地良く
 ....
 ペールベージュのストッキングの脚は歩く度
 踵に隙間のできるパンプスが
 擬音で表現しずらい音を立てる

 そのアレグレットな足音に
 澄んだ媒介を感じとって 
 追い抜かず 私は着いて ....
 それは直径十二センチのバースデーケーキだった
 スポンジ全体に
 塗られる甘みをおさえたクリームと
 細かいおろし金で削られたホワイトチョコレート
 が、一面に振りかけられて
 まるで遠い ....
 会社では広大な敷地内を 車と自転車が往来する。
 歩行者には「さわやかあいさつ通り」と名称される
 アーケードの歩道が設けられている。

 東の正門で守衛室に社員証を提示しても
 配属先の ....
 自宅でお留守番するウサギは
 あちこち破れたからだを丁寧に縫い繕われた
 ぬいぐるみ

 社員食堂で晩ご飯を済ませ帰宅する暗い空間
 蛍光灯が点くとよろこぶウサギに
 ただいま を言 ....
 
 ふいに風は立ち
 影のシミを揺らす街路樹
 二車線道路で流れ去るものを
 記憶からも消していく

 信号が変わり白線を渡る私との
 間合いを詰めてくる影法師
 一歩左へよけると
 ....
 あのトマトジュースが飲みたいわ!

 それは缶やペットボトルで売っていない
 ある喫茶店で飲んだ
 初めての味

 こっからだと、ちょっと歩くけど大丈夫か?
 
 夕刻にはまだ早い「 ....
 にこやかに前を歩く私の後ろから着いてきてくれる
 あなたの足取りはまるで
 デパートの屋上へ遊具目当てにやって来る幼児の父親

 やっぱり、ここからが一番綺麗なのよ!
 自慢げに私がそう言 ....
 或日 遠い湖北の外れ町
 心を病みどこへとも行くあての無い 
 たびの子が街からやって来た

 幼すぎるその子に
 ある禅寺のご住職が暫くの宿を
 貸すことにした

 親元を離れた日 ....
 二人 行きつけの飲み屋では
 入口から一番奥まったカウンター席
 三杯目のグラスを掴み取り
 頬張った氷ひとつ
 噛み砕く彼女
 
 大腿骨を一度骨折してから足腰が弱り
 本人は自覚を ....
 雨の止んだ朝
 影を含んだ滴が
 街路樹のてっぺんから
 次第次第にころがって
 葉っぱをかすかにはずませていた

 背の高い少年が二人
 昨夜みた夢の話か
 声を低めてさわやかに微 ....
 
 月の出の頃
 舗道が西へ向って遠遠とのびていた
 この途 にも果はあるのか?

 あれは人気観光スポットの側にあるカプセルホテルの様な
 街路樹の一本
 椋鳥が まるで人の心もおど ....
 真四角の建物の谷間
 冷たい雨が、
 寄り所ないコンクリートの壁に爪を立てて
 のぼり始める
 赤く黒く
 その身をやき尽くそうとして
 一足一足いらだたしげに登り始める
 
 どこ ....
 ベランダ打ちつける雨音
 レースのカーテン越し鳴り響くものが
 西の空も
 東の空も
 緋色 噴き上げ
 花火の様に開いていた
 湖に ぴかっと光った一線が在るだろう
 そこに連なる峰 ....
 歎くべきだっただろうか

 みずいろの空が
 私の上に落ちかかって来るのを感じた時
 心は
 果のない
 重量感のない
 依リ所のない
 空の中に巻きこまれて
 小さなわたしが
 ....
 改札口を出ると いく筋もの河が流れる
 灰色の淵に浮かび
 すべらかにいく青をみつけた

 水の歌
 三月も終りの
 生暖かい大気に 還ってゆく
 透明な
 水の歌

 だが ....
 春 おそく
 雲低い空の下
 裾のほつれをまといつけておいた
 小花柄のフレアースカートはいて街へ出る

 図書館の帰り、線路わきの公園で
 ひとり眺めみる 
 八重桜 
 ぼったり ....
 沼の畔に立った時
 私の真下に見知らぬ女が居た
 山を 仰いでいる女が居た
 水草の花は白く咲き
 深いモスグリーンの森は夏なのか
 ひんやりと うす暗い
 私の真下にいる女は
 口角 ....
 
 湖のほとりで 歓送迎会が宴たけなわ
 大広間のステージ台へ背もたれ向け座る
 センターから外れる円卓、
 あなたが 椅子に割り込んできた

 別の課へ異動していくあなたとは
 正式 ....
 今年は季節の巡りが定まらず
 戻り梅雨に降る雨の
 街で 蝉が鳴いてます

 初夏も過ぎると その年の
 誰かにとって一番はじめに聞こえた声、
 その方向へ視線を投げた人もいるでしょう
 ....
 今夜は生ハムのサラダで
 軽めの赤ワイン
 Cotes du Rhone を開けて乾杯といこう
 仕事をあがってから一人で
 デパ地下のデリカフロアへ出掛けてみた

 五月のゴールデンウ ....
 高架橋の手前で母子とすれ違う
 歩道へ吹き出してくる走行車の反響音
 二車線道路が湖岸の県道まで下っていた

 すれ違った時
 赤子はカラフルな膝掛けに包まれていた
 ちょこっとだけ小首 ....
 その日の空は画用紙に、水彩絵の具の青を薄めに溶いてから
 ほんの少し白を混ぜて丁寧に塗った様な色だった。
 山裾を走る県道の側に建つ総合病院で、予約の外来診療を終えた僕は
 急な傾斜が緩やかに ....
 会社の敷地内にある
 貯水池
 アシかマコモか 
 つんつんと緑、日ごと明るさ増して

 今朝も彼は来ている

 渋い濃度ある黄金色の水面で
 伸びてきた若草は
 彼の青灰色した全 ....
 川縁に一人立っていると
 背後を笑い声やら靴音がぞめき行く
 銀閣寺道

 並木続く小径に沿って
 川幅いっぱいを埋め尽くす淡い色
 水嵩を調節する一枚板で堰き止められた花片が
  ....
 週の半ばは通勤花見
 夕空に 陽のうたっている
 調調と 高く
 時に柔らかく触れて
 ずっと 長く

 昨日もそこに
 陽はうたっていたのだ
 ソメイヨシノの薫り優しく
 甘 ....
 季節風が未練がましく吹きつのり
 北野天満宮の梅苑に白梅が咲き始めた
 春が来るのか

 昨日よりは
 今日よりは
 明日よりは
 理想の 胸に馳せめぐり浄らかな人生を
 描いて ....
 花の時期を過ぎれば気にも止めないでいた
 児童公園の隅にある
 赤茶けて錆びた鉄の 大きな藤棚

 敷かれた石畳に 風雨で変色したコンクリートの
 ベンチ三脚
 ちいさな葉が滴り落ちる  ....
 先週は半袖でいられたのに急に
 風の冷たくなって
 靴下も履いていない あの子は
 三ヶ月くらいだろう

 膝でリズム取る
 まだ若い男
 の揺かごに ぷらんぷらん
 あの子のあんよ ....
リリー(458)
タイトル カテゴリ Point 日付
楊貴妃桜自由詩7*23/5/4 14:51
石について自由詩11*23/5/3 18:34
青紅葉自由詩4*23/5/2 17:04
白のメッセージ自由詩5*23/5/1 10:24
朝の月自由詩10*23/4/30 11:57
竹林自由詩9*23/4/28 19:32
黒い鞄自由詩2*23/4/27 20:52
セ・シ・ボン自由詩3*23/4/26 18:41
相合橋自由詩8*23/4/25 3:27
十二時自由詩3*23/4/23 7:07
水割り自由詩5*23/4/22 17:28
少年自由詩5*23/4/21 18:12
月の出の頃自由詩1*23/4/21 5:01
五月雨自由詩2*23/4/18 15:48
湖の即興曲自由詩4*23/4/17 5:27
春雨自由詩8*23/4/16 4:17
水の歌自由詩4*23/4/15 13:39
八重桜自由詩9*23/4/12 8:49
沼のほとりに立った時自由詩4*23/4/10 0:21
淋しい椅子自由詩4*23/4/8 14:24
初鳴き自由詩3*23/4/6 9:37
化粧室自由詩2*23/4/4 10:06
高架鉄道自由詩6+*23/4/3 12:15
白椿自由詩8*23/4/2 17:43
青鷺自由詩6*23/4/1 10:50
白い川自由詩7*23/3/30 12:16
春の連弾自由詩3*23/3/29 22:12
小さな女自由詩7*23/3/28 5:30
風のいろ自由詩6*23/3/26 10:00
あの子自由詩3*23/3/25 12:04

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