水道管から聞こえてくる
遠くから雨がやってくる
おとなたちはおしゃべりをやめて
会えないひとに手紙を書き始める
ラジオが音楽を止める
もう雨は近くまできている
....
ぼくの乗ってる大きな船
生まれたときには乗っていた船
どんな名前のどこの海を
進んでいるのかぼくは知らない
ぼくは芋を剥いている
船底の小部屋で腰を掛けて
芋を剥くのがぼくの仕事
ぼ ....
海辺からながい
ながい電車
雨降る町まで
ながい電車
時計が山ほど積んである
ながいながいながい電車
火の山越えて
ながい電車
虹を泳いで
ながい電車
どんな駅とも ....
車椅子が野原にとける
男の子よさようなら
飛び散る魚の反射のうちに
ぽかぽかとあたたかい日には
なおさらのこと
そのくせ歯医者や期末テスト、面接なんかに
行かなくてはならないときは
いっそう靴は
おしゃべりになります
こちらの緊張ぐあいには ....
絵描きは追い返せ
街には入れるな
見張りを怠ることなかれ
立て札を増やしておかなくては
雨と砂を浴びて
バイクにまたがり遠い国から
さっきやって来たかとおもうと
とぼけた素振 ....
60歳になったら名前を変えたい
60歳になるまでの名前はもう
意味の零れ落ちるだけのスポンジにして
大事だったものぜんぶいっしょに
タオルのはいったカバンにしまって ....
ともかくその日いちにちは
みんなで音を出す日という決まりだ
なんでもいい
大きな音を出しまくる
金だらいをラッパでたたく
スリッパでエレキギターをはじく
屋上からドラム ....
クラブ仲間と遊んでいても
ドーリーはひとりぼっち
パブの女の子たちは貝殻のようで
手ざわりだけがいいと思う
どんな奴の話も上手に聞けるのに
なんだか仲間たちの腕にある ....
バスにもたれて揺られていると
なつかしいひとが乗り込んできて
私のすぐ後ろの席に座っている
バスにもたれて揺られていると
いつのまにか、どの乗客たちも
花びらになって ....
お魚畑を横切って
青い列車が突っ走る
火花がカーブで散るたびに
魚が闇夜に飛ばされる
枕木たちの音階を
青い列車が突っ走る
エレクトリックギターの弦の
レールが唸 ....
皿をかさねる
どんな料理でも
皿が汚れる
皿をかさねる
指先に祈りを込めて
汚れを落とす
蒸気があがる
床下に壁の中に
張り巡らされた水道管から
私は皿 ....
夕暮れの始まりには
電車も家に帰り着いているよ
そう、ぜんぶ
雨戸がひとつ閉まるたびに
天国ではピアノがひとつ鳴る
そう、どれも
だれも、おたがいのこと
なん ....
話し声はあちらこちら
ショーウィンドウにぶつかったり
街灯に巻きついたり
屋上から飛び降りたり
車道に降りて轢かれてたり
わたしはこちらですけれど
あなたは ....
まだ隣りにいるような
波音をきく
目が覚めてから
目を開けるまでの
昼間のうちに
おふとんの模様いっぱいに
あつめておけば
夜には部屋のなかいっぱいに
少しずつ溶けだしてきてる
ざまあみろ
光をこんなにあつめられるのは
おふと ....
病室前のバス停に
貼られた時刻表を覗き込み
金曜日には帰れるんだよ
お母さんが来てくれるんだよ
取ってあげたイチゴのへたを
おはな、と言って微笑うのさ
....
君が眠っているうちに
パンが焼きあがったみたいです
お母さんはお父さんを呼び
小さな女の子はテーブルを手早く片付けて
髪を撫でてもらいました
君が眠っているうちに ....
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