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「彼女」は自分のことを「私」と言っている時もあった。こういった事象に整合性はないのだろうか。良く分からない。
「彼女」から私が私に戻った時は唐突で、急にはっと目が覚めるような感じであ ....
野良猫が歩いていました。
な〜んて言っても
それが本当に野良猫かどうかは
知りません、雰囲気です。
つまり、小汚い猫でした。
後ろ足を引きずっていました。
痛々しくはありましたが
怪我を ....
もし、新たなメッセージがあったら死んでもいい、と念じたとする。
すると、あった場合は嬉しいし、なかった場合は死から遠くなり嬉しい。
もし、新たなメッセージが無かったら死んでもいい、と念じたとす ....
すっかり途方に暮れてしまっていた。
もうかれこれ40分は白い空白を眺めて、おもむろに煙草を三本程吸う。
深夜三時の深海。外は秋雨の霖雨の悲につつみこまれ、鉄は錆び濡れているのかと一度、哀感するのだ ....
文学作品は完結していない。それは読者の推定によって補われることで完結する。そして、その推定に際しては読者のバックグラウンドが反映されるから、推定によって完結する作品の中には当然読者の在り方が反映され ....
冷めたコーヒーは苦い水であるからして不味いのは当たり前のことである。かといって大雨で増水したドブ川の匂いがするとなったら話は別だ。好奇心から、私は中に人差し指を沈めてぐるりとかき混ぜてみた。すると ....
ちいさながじゅまるの鉢植えを夫が買ってくれた。土曜日、駅のよこにある小さな、閉店間ぎわの花屋で。つめたくて、青い、「2」という数字がかたどられた陶器に入っている。
植物の方が、動物よりもなじ ....
西の空、山の先がわずかに明かりを残している。周囲のビルの明かりは灯されていた。西の空が青と言えなくもない色から、闇に変わる。エレベーターホールから覗く外の空はすでに夜だった。自動ドアの前まで歩く。ド ....
私はこの一年ほどtwitterで詩を書くということをやってきた。twitter詩の特徴として、(1)非同一的であること、(2)公開性があること、(3)反応がリアルタイムであること、を挙げようと思う。 ....
自由詩というジャンルは、長い間、一人称の最後の砦として機能してきたと思われる。それは、小説よりも私的で、小説ほどの鍛錬も要らず、自由に思ったことを「私」の意識の赴くままに書いていく、そういうものとし ....
卵巣が痛むのは、男と結婚したわたしへのFの復讐かもしれない。
愉快に晴れ渡った夏の午後。わたしは、シトロエンの助手席にFを座らせ、幌を全開にして高原へ向かった。風景が白いボディに写りこみ、 ....
秋の野原にたんぽぽなんぞが咲いていると
あれ、もう春だったっけ? とぎょっとします。
いや、冗談じゃなく、最近の忘れっぽさには
少し怖いものを感じていますので。
現フォに投稿させていただい ....
安物の意味合いは、もうすっかり変わってしまっている。それは必ずしも粗悪品を意味しない。いろいろ限界があるなかでも本気でいいものを作ろうとしなければ誰も振り向いてくれない。ましてやお金を払おうとなんて ....
チヂム君「あーん!ふえもん!」
方洲登呂 富衛門「どうしましたか?助けになれることを私は望んでいます」
チヂム「もうすぐ世界の終わりが来るってライアンが僕を脅かすんだ!」
富衛門「安 ....
夏よりも冬のほうが好き。冬が終わるときはなんとなくさびしい気持ちになるけれど、夏が終わるときにはいつも少しうきうきしてしまう。
ただ好きというのと得意というのはやっぱり少しちがっていて、色々なも ....
私が文章を書くようになったきっかけは、夢を描写することであった。
人は、一日に八時間眠るとして、人生の三分の一を眠って過ごすわけだが、その眠っている間、大抵は夢を見る。私の場合、
「ああ、面白 ....
一般に構造主義と呼ばれる思潮は、戦後のフランスを中心として開花した。構造主義革命、と呼ばれる程の大きな変化を科学全般にわたって引き起こした大きなうねりをなしていた。数学、化学、分子生物学から政治経済学 ....
いつもMDのラフマニノフは家に帰ると鳴りっぱなしで乾いた道と渇いた人にちょっと疲れた心をなぐさめてくれるのだが。
現実派ではもともと無いのではあるが独りの家計はあらためて可処分所得の少なさをしっかり ....
信仰と文学、つねに、この順序でなくてはならない。始原にあり、すべての中心をなし、常に先にあり、また未来永劫ありつづける方こそが、神に他ならないという教えを私は受け入れようと、求めたから。人間と ....
信じられない、と言うのが聞こえたあとにもう一度信じられない、と言うのが聞こえたので私は礫(つぶて)になってしまった。弾けて路傍。鮮やかなつま先であなたが私を蹴り上げる。信じられないと言う声がまだ胸 ....
わたしだったらこうするを楯に突き進んだ青い時代がありました。あなたのそうするを理解できる想像力に欠けていたのです。お互いの価値観の違いを別れる理由にしてしまう浅はかさ。沈黙は心臓10センチメンタル否セ ....
吐き戻したばかりの吐瀉物を横目に笑われた。じとじとした夜だ。安酒、いるはずもないような女だの友達だので囲まれている。中学生のころだっけ。わからない。どいつもこいつもペッティングしている、たいした面で ....
カウンターで、痰が絡まって、「キャラメルマキアートください」がひっついてキャラメルマリアが顔を出した。舌打ちは案外たやすい、三頭身のキャラクターと店員の笑わない目、おれの小さい欲望と自尊心。上を向く ....
さて、芸術という呼称には、様々なイメージがまとわりついている。日本では、芸能と芸術とが対照的な概念として用いられている場合が多いが、一般的には、近代西欧から輸入されたアートの概念に適合するもの ....
子ども時代ははらせつこでよく遊んだ。その名の女優の屋敷跡で、バラ線をくぐって出入りする。
他にもゴマンとあった空き地と交互に遊んだが、何しろ1番近く、広かった。5百坪はあったろうか。
私が生ま ....
キヨの彼女は料理が大好き。料理の隠し味は大きな愛よ、なんて言っちゃうもんだからキ
ヨはいっつもヤキモチ妬いちゃう。だからキヨは「そんなに料理のことが好きなんだったら
その刃こぼれした包丁に訊いて ....
詩を書いていると「上手く書きたい」「より多くの人に良いと思われるものを書きたい」という欲が出てくる。その欲が、最初のインスピレーションに従ってただ書き出しただけの言葉を、色々と加工させる。加工してい ....
蒼白い頬が好き。と言ったら気味悪がってそのあと一度も連絡が取れなくなった子もいたしなんでか食事を抜き始めてばかみたいに痩せてみたりしたひともいた。いろんなひとがいた。でもみんなどこかへ行ってしまった。 ....
ある時、しくみちゃんのセーラー服のリボンがなくなった。赤くて、カワイイ、テラテラのリボン。しくみちゃんは目を丸くして、「わたしのリボンがありません」と学校中をぐるぐるしはじめた。あんまりしくみちゃん ....
信仰と文学に関するメモ
20世紀後半における国内において、世界史的な価値を有する詩業を残した大詩人といえば石原吉郎の名を挙げることが可能であると思うが、彼に限らず、日本の近代文学は、宗教(あ ....
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