今年いちばんの冷え込みでした、とテレビが言っている、どおりで指さきまでかちかちに冷えるわけだ。凍るような朝焼けのあと、毛布のなかでからだをぎゅっとちぢこめていても伝わってくる娘と夫の体温にはさまれ ....
君がこの曲聴いたら喜ぶだろうな、と思いながら曲を聴く。君がいなかったときよりも聴いてて楽しい。音楽は共有される。私たちが日本語を言語として共有しているように、ふたりは音楽を共有する。
シュレーディンガーの性別。文字だけでは作者の性別が見えない。見えるのは人が書いているってことと、作者が実在しているってこと。
性別だけじゃなく、年齢も見えないし、声も見えない。それでも、作者の何かが ....
クリスマスソングを嫌いな理由について考えを巡らせている。なぜそんなことを考えるのかわからない。嫌いなものについてなど考えなければそれで済むし、実際に多くのことはそうしてやり過ごしている。でも嫌いなも ....
ふと過去を振り返ると、立体的な君がいた。
君の今を想う。今も三次元のなかにいるんだろうか。
僕は相変わらず二次元に夢中です。
夜、夢の中で今を考える。
君は周りに愛されているだろうか。
....
若いころの孤独というものはナルシシズムと不可分である。若いころ、人はよく孤独に陶酔する。自分が孤独であることに酔って、孤独である自分がかっこいいと思う。そのような孤独な陶酔する主体が書いた詩とい ....
未来では僕の一生は黒歴史だ
墨汁で真っ黒に染めた問題用紙ぐらい黒い
でもその黒さが誰かに伝わればいいな 今のあなたや、未来のあなたに
僕に「生きていけ」って言ってくれたひとたちのように、あなたに ....
とてもとても遠い昔、あるところに、こじきの女の子がいました。
笑うのも泣くのも、おしゃべりも、誰かのお気に入りになるのも得意。
こどものころは大変でしたが、大人になり、乳房が豊かに揺れるこ ....
10年ぶりにはいったコーヒースタンドの角からひとつずれたところに座ってるてんちゃんはもう瘦せぎすじゃなくて、なんかふつうの男のひとにみえた。
足音をさせて近くまで行ってもふりむかないのはまえと同 ....
「足はもっと高くあげて」
「まだやれるよ。今度のも一発で決めて。」
「手の動きにキレがなくなってる。リズムに合わせて。そこで回し蹴り。足を変えて踵落とし。駄目駄目。全然遅れてるよ。」
橋本さ ....
私はいわゆる氷河期世代の人間だが、就職だけにかかわらず、生きること全般について苦労の伴う昨今であると感じている。もともと日本はムラ社会であり、その体質は西洋文化の輸入後も変わることはなかった。そのム ....
些細なことから、それまで喫んでいた煙草を消し、彼は帰路を辿った。
冬も近い秋の日である。彼の意識は殆ど寒風に向けられていた。所々解れたセータ一に身を包み乍ら、然し彼は一層溌剌として、凜たる街中を ....
黒焦げになってしまいそうになるほどに刺してくる太陽からの熱は段々と弱まって、差してくる光こそチクチク強いものの、半袖シャツが寒く感じてきた頃合いのお話。
その日はそれでも陰のシルエットが強めな日 ....
☆空気がよめない ☆挙動不審 ★視線 (うつむく、目がきょろきょろする) ★態度 (はしっこを歩く、会釈、猫背) ☆コミュニケーション ★オドオドする ★聴き間違え ★話すスピード ....
あなたの声は魔法の声
声を聞くと私の細胞が動き出す。
細胞も怖い時は怖がって震え
愉しくなると、笑うのだろうか
あなたの声を聞くと細胞が笑い出す
多分、笑っているから細胞の集合体の
私 ....
僕が生まれて初めてしたことは、喋ることでした。
まわりの喋り声が五月蠅くて辛かったり、まわりの喋り声が落ち着かせてくれたり
うまく喋れない時期もあったり、喋りすぎる時期もあるけれど、
今は僕なり ....
長命寺幼稚園は、石神井公園駅から、歩いて七分ぐらい。
ぼくは三年保育で、その幼稚園に通った。
通常は、二年保育。早生まれだったから、三歳のころから、園児だったのだ。
だから、年長さんにな ....
いっちゃんは、喧嘩が強い。僕も、弱い方ではないが、いっちゃんには、敵わない。
二年生のある日、休み時間に僕は、教室で隣の席に座る悦ちゃんと 砂場で遊んでいた。そこへいっちゃんがやってきて、僕たち ....
「今いる場所がフィクション、虚構にしか思えないってことは、あなたが今いる場所をフィクションだと思うことができるってことで、あなたは立派な主人公だ。虚しい主人公だ」
あなたが今いる場所をフィク ....
随分経ったあとで、ふと思い出し、笑ってしまった
誰かと何かを分かち合うことが上手く出来ないのは前から気がついていたけれど、何となくいつか出来るようになるんじゃないかと漠然と思ってい ....
デジタルカメラのブームで 中古市場が激変している
ライカレンズだけでなく 古いレンズは多くが値上がりしている
とくにライカの値上がりが 目立っている
反対にフィルムカメラ本体は 値下がりし ....
文学極道をめぐる今ひとつの大きな疑問は、文極は今後も戦い続けるべきなのか?ということだと思います。文学極道発生当時のとりあえずの目標は、良質な詩や散文作品をネットから発信して、紙媒体の詩壇の「権威」を ....
久しぶりに訪ねたカフェは、何も変わっていないはずなのに、やはりどこかが少し変わっているような気がした。
玄関を入る前にマスターと目が合うと、マスターはガラスの向こうで小さく頭を下げた。僕のことを ....
小学二年生に上がって、担任は、とやべ先生になった。四十歳前後の男の先生だ。始業式の日、とやべ先生は言った。
「喧嘩がしたいときは、僕に言うように。僕が、審判をするから」
ある日、小宮君と揉 ....
かつて、コモドアーズ、というソウルミュージックのバンドがあった。その存在を知ったとき、ぼくは、こもだなおき、を思い出した。こもだなおき、は、ぼくの幼馴染。家が近所で、同じ幼稚園に通っていた。
こ ....
アデリーペンギンのコロニーを襲う、巨大な氷山と戦うペンギンたちの大冒険です。
巨大な氷山は実際の話です。この氷山は約20年に渡って南極大陸のコモンウェルス湾に浮かび、「B9B」と呼ばれています。 ....
序文
管理者殿へ。
「他人から自分に寄せられた、資質や才能に関する賞賛を、私が受けとるとは限らないことについて」
私どもの筆記名が書き込みされています。実に不愉快な気分で、もはや限度を超え ....
新卒採用の私はようやく三か月目だというのにすでに苗字ではなく名前で呼ばれている。
「並子さん」
「なみこさん!」
もちろん笑顔を湛えて声の主のほうを向き「はい」と元気よく(新人らしく)返事す ....
文学極道(bungoku.jp)に投稿された澤あづさ氏の『ひふみよ』という作品をブログ上で批評するという約束をしたのですが、分量、内容ともに正面から突っ込んでいくと時間切れになるのは必至なので、今回は ....
夏はなんだかすごくさびしかった。これまではそんなことはないのに。さびしくなるのは冬か秋か春と相場が決まっている。
いろんなものが取れかけているわたしは、また色々のことを思い出す。思い出したり、考 ....
38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78
【散文(批評随筆小説等)】散文詩は禁止。散文詩は自由詩のカテゴリへ。
0.59sec.