冷房のつよきビルより出でてきて
鋪道の照りは肌にほどよし
寝袋を肩に出て行く子等のあと
逝く夏の風追いかけてゆく
留守宅の犬に餌やる三日目を
信頼しきる犬の目と合ふ
矢 ....
我家は神の住み給う家にして日夜御顔を仰ぎたてまつる
神のそばイエス居たまいあれこれと我の業おば導き給う
使徒パウロ我の右より声かけて我の意見に同意した給う
無言にて薔薇一枚を差出され
祈りの如きさまに受け取る
抱え持つ洗濯物の子のズボン
ポケットに鳴るは はだか銭らし
かきつばた あやめか しょうぶと論じつつ
床几に寄りて賑はふ ....
かたいのか
やわらかいのか
知りたくて
触れたくて触れたくて
オレンジの髪
夢だって
わかっていたなら
その髪に
触れてみたのに
ああ触れてみたのに
くちびるも ....
香水を付けて気合いを入れてみた 特に理由は無いのだけれど
香水を付けて気合いを入れてみた 別にあなたの為じゃないのよ
香水を付けて気合いを入れてみた お風呂に入って寝るだけなのに
前髪の白きに毛染吹きつけて
女身愛しと笑われもする
蓑虫を二つぶらさげ鉢植の
さつきは強き夕立を受く
草の実を体に着けし犬と吾れは
川辺歩めり秋風の中
雑踏の中のマキシ ....
雨の中
白いドレスに
身を包み
虹に嫁いだ
梅雨の姫君
●「撫で肩をパットで補正する君があたしの胸をとやかく云ふな 」
「なでかたをぱっとでほせいするきみがあたしのむねをとやかくいふな」
●君の肩を抱き寄せたくておもいっきり後頭部にウ ....
二両目の
弱冷房車で
うちわ振る
太った女を
南極送りに
扁桃腺腫らして臥せる吾が側に
苺食みつつ子等は饒舌
もの煮ゆる音も親しき独り居の
夜は気ままに猫の相手す
鄙びたる里を吹く風 豌豆の
からめる蔓をゆさぶりて過ぐ
くせのある ....
眠れない
夜をふみこえ
たどりつく
朝という空
風がそよいだ
雨だれに 頷く露草 いとをかし
君への言葉を 語るともなし
雨蛙 あちらこちらで 鳴く声は
紫陽花に咲く 花の夢々
黒すぐり ....
何もかもきれいだったと過去形になってることに気づきつつある
宇治橋
夕霧にかすみつ渡る面影に
露けき花の色が重なる―――
観月橋
しめやかに
欠け満たされぬ夕月の
心を以ってなぞる君の名
....
子等の留守 語る事なく夫と居て
硝子戸たたく雪を見てゐる
入試終え帰りきし子は降る雪の
中にレコード買ふと出で行く
ミニを着て鏡の前に立ちみれば
膝にかくせぬ年と知らさる
....
透き通るガラスの惑い指でなぞり
雨をみていた心おちいて
白い足走り去る朝つかのまの
雨をみていた虹を待つまま
紫陽花の肌の静けさこぼれゆく
雨をみてい ....
ねぼすけのあなたのために初夏の朝カフェイン渡す悪女になりて
巣立ちけり鳩の雛は巣立ちけり今朝妻が知りわれに知らする
路をゆく白き制服の少女一人なれも巣立てよ二十歳とならば
丁度いま午前8時の時報あり今日の一日純クリスチャンたれ
ニャニャニャニャニャ
にゃにゃにゃにゃニャーニャ にゃにゃにゃにゃにゃ
にゃにゃにゃにゃ ニャニャニャ にゃにゃにゃ ニャニャニャニャ
●赤旗が挙がりて暫し少女は踏切見詰む砂も払わず
あかはたがあがりてしばしをとめごはふみきりみつむすなもはらわず
●廃線となりて久しき踏切に草笛を吹く嬰女のあり
はいせんとなりて ....
蛍火の点滅そろふ魔の息はさうしてわれらの耳をかすめる
あれは蛍だつたのかしら言ひそびれ秘密となりしことの幾つか
{引用=一九九八年七月一七日}
晴天のあくる日雨の梅雨景色恋にもにて色美しき
あなたの腕で
眠る今日
明日も続けば
梅雨の日だって
幸せなのよ
晴れた空
熟れた唇
赤々と
染まりて人を
惹きつけやまぬ
からっぼのグラスに注ぐ赤ワイン街の夜景が微かに浮かぶ
玄関の椅子に座りて黙すればまた空しさを思いみるなり
鳩の居る庭の紅葉に目を移しわれが空しき鳩なおむなし
雛にえさ与うる鳩の姿にも生きる力を見出さむとしては
夏至の日に
キャンドルナイト{ルビ流行=はやり}だし
ニヤリと笑う ロウソク屋の子
やりとげて やらとげてもなお 終わらずに 夏の夜空の 明るさしみて
鈴の森触れては消える降るうたは触れては消える触れては消える
夜に泣く左目を知る鏡の子まなざし手繰る火の指の先
忌みの日の化粧のように白き喉うねりざわめく小径を照 ....
愛しさを震える左の手に込めて
あなたに届け我が恋文よ
かきくらす
闇夜に祈りて願いしは
あなたと逢えるその日を疾くと
逢はむとぞ思ひて歩く
遥かなる道のり越えていざ ....
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