思い出の森をさまよう僕はもう少年時代の歌詞から遠い
おにぎりの形している山登る今はまだまだ海苔の真ん中
紫陽花に紋白蝶の眠る午後わたしが汚れているのが解る
花粉から誘われ ....
忘れたよ 待ち合わせてた 花水木
やさしい声も あなたのキスも
覚えてる? 笑ってくれた あなたのやさしさ
涙も枯れた うつむくわたし
すきだった すき ....
天井に描くイメージ
理想の光は射さないようで
私が追い求めている光
手を伸ばせば届く場所にあれば
こんな思いもしないのに
ただ単に 必死になって さがしてる
それだけなんだ きっと明日も
夜を飛ぶサーチライトをUFOと信じる子には光るシールを
映写機に撃ち落とされた銀幕の穴の向こうの月が綺麗だ
始発にて人気女優のクローンのような女と飛行場まで
新品のアメリカ製のス ....
憧れのシャロン・ストーンのポスターの鼻のところに画鋲が二つ
七月の炎天下での朝礼は戦争映画の軍隊のよう
摩訶不思議ニコラス・ケイジと担任は同じハゲでもこんなに違う
汗だくの機材 ....
-開「始」の合図
女として生を受けたわが母を踏み台にして切られるスタート
-頭上に透き通る芸術作品「虹」
雨上がり私の中の虫たちが工夫凝らして作る架け橋
-上の者と下の人間との会「話」 ....
なにゆえに見放すことができようか我が奥底に棲む群盲を
しかばねの多さに目を突き哭き叫び地獄の番犬喰らう日に記す
何億人殺めようとも救われぬ我が魂に触れるもの ....
青き百合を水に葬る手のひらのかたちのように流れゆく指
横隔膜の失いたる平衡感覚で剣のうへももはや荒野
牛乳を一気飲みする冷たさにすべての蝶の真白く映えり
目を閉じて遠き木 ....
名も知らぬ 花になぐさめられたよう くちもとほころぶ 朝の通勤
午後8時 仕事疲れた 帰り道 鼻先かすめる 食後のコーヒー
やわらかく青へと染まるリトマス紙わたしの愛も調べて欲しい
インドにはペンケースを踏む象がゐるそのかけらほどの愛が欲しいと
その好きは錯覚ですよと言いはなつ君の思いが春にまぎれる
....
{ルビ生命=いのち}{ルビ繰=く}る親指の垢{ルビ擦=なす}り付け新たな{ルビ頁=ページ}アルバムに増え
{ルビ霞=かす}みゆく夕方と夜の隙間の紺ハイライトの箱投げ寄越す君
かろうじて上が ....
間の悪さ 前世の因縁、掃き捨てて
わたしと恋に おちてください
「今だけは」 一言だけが 君の恋
わかってるフリ 気づいてないフリ
奥底に 過去形で ....
風船がしぼんでゆくのは見たくないだから今すぐ針を刺してよ
箱ならば開けてしまうよ血管を通うわたしのパンドラの血
飢えている仔猫にミルクあげるとき黒い何かの目覚めに気付く
....
火曜午後喫茶店のコーヒーを猫舌ですくう君の口元
窓枠の銀色のふちと重なった空の灰色二十代の時
さっくりとすすむ静かな五月の{ルビ陽=ひ}自転車こぐ足軽く浮き立つ
きみがさかなになる週末さしのべた指さえ背びれの端かすめゆく
「あいしてる」吐き出す泡の数かぞえ「さようなら」にも見まごう深み
すべての色が吸収され青だけが残る孤独に想いを置 ....
そそくさと何かを取り出す道ばたで こともあろうにただの草か
本当にぽっかり穴ができるのね 虫眼鏡でも グラス越しの無視でも
聞き捨てて いままでごめん いまさらに必要となる ....
遠去かる陽がうなずいた草の輪にやがて降り来る雨のふちどり
痛む目となだらかな背を持つものは皆それぞれにぽつんとしている
ひとりだけ此処に居ること奏でれば返る応え ....
二時間後待ち合わせをした駅に居る君の背中を想って黙る
甘茶色耳にかかるべき髪の毛を指で遊ばせ五分の間を埋め
梅雨前の最後の晴れに出かけよう三浦海岸二人乗りの午後
まっすぐに続く空とい ....
両頬に掌そえて読み取った肌のにおいと温度とカーブ
いるはずもないのについつい振り返る前頭葉は未練がましい
端正な顔立ちの君が言い放つトイレの匂いだよ絶対に
円盤の奏者がギターを置いた ....
ぼくたちの出会いを事故と名づければたちまちエアーバッグが邪魔で
消えかかる蛍光灯の真似をするきみの瞬きずっと見ていた
きみのその背中の刺青の蝶を捕らえるために彫りし蜘蛛の巣
....
「昨日はふたつの嘘をつきました今日は今日とて数え切れずに」
たくさんの傘が車道をすぎてゆく雨上がりの陽に影を失くして
風あおぎ枯れ川の春祝うのは帰る場所無き ....
Tシャツの表と裏で出逢うよな夏と絡んで脱がしてみたら?
ドキドキは冷蔵庫から獲り出していつでも君の体温待ちで
透きとおる空の世界でくちびるを奪うそれってバニラみたいね
赦すがいい赦せぬものを赦すがいいおまえがおまえでありたいのなら
できませんどうしてもそれはできませんわたしがわたしでありつづけるなら
かがやきのただ ....
雨の音に紛れてニュースが伝えている関係ないよわたしはわたし
都合よく咲いてくれたりしていますわたしに似てるアジサイのいろ
ガラス戸に夏色ばかりが映っている忘れていたよ次の約束
....
{引用=猫の目のなかに言葉をさがしてた世界がわたしの部屋だけの夜
はてしなく優しいきみが眠るときおとぎ話の幕が開いて
鍵穴を探す深夜の部屋の中小さな鍵の彷徨う{ルビ行進 ....
窓枠の内側だけがすべてなら世界も朝もはねかえすのに
目をとじたままたしかめる左側まだだいじょうぶ黎明の時
暁の別れとともにおとずれるコーヒー2杯の蒸気する朝
ペダル踏むか ....
鬱だよねそう言われると鬱になる鶏卵どっちが先か
埠頭まで歩いていって見渡して今日の埋葬明日の瞑想
黒い空と重たい空気のエスプレッソ苦い気分は胸の底まで
ビー玉を舐めてみて思う冷たさを ....
読み止しの本のページに蒼といふ字をころがせば梅雨の来たりぬ
カフェで待つ我を嘲笑いしストリートただいたづらに人の行き交ふ
雨音がやけに心に響く夜 広すぎる部屋頼りなき我
泣かぬ空みあ ....
{引用=高速で回転している花束を見ている朝の洗濯機の前
小窓からしゃぼんの香り飛び出して空に散らばる雲の石鹸
仰ぎ見る雲は雨雲どんよりと黒い何かをぬぐえぬ散歩
....
323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360
【短歌】このカテゴリでは31音律「5.7.5.7.7」を基本とした短歌と、その音律を崩した自由律短歌作品を受け付けます。短い自由詩は自由詩カテゴリへ。短歌批評は散文のカテゴリへ
0.78sec.