「お会計の方が、560円になります。」
私は慣れた手つきでクラフト紙を折り
ていねいに本を包み込む
20代のOL風の女性は
ありがとうといって去っていった
電車に乗る私は
君が ....
 
 
大家族から核家族へ
核家族から核個人へ
人は自由を求めて
分裂を繰り返してきた
原爆のように
大きなものを
小さな核が分裂して壊し
残ったのがこの街だ
....
貴女が逝ってしまい
一ヶ月余り
今でも貴女を思い出さない日はありません
日々弱っていく自分をどう受け入れ
どんな思いを残して旅立っていったのか
貴女の胸のうちを察すると涙がまた一筋
....
北西からの冷たい冬の風
少し青空が覗けているけれど
私の頭上、分厚い雲はまだ去らない
大人だから、辛いときも耐えなくちゃ、ね
誰もなんにも言ってはくれないけれど
守られる前に守ってもらう ....
暑い日の中で
シーツは 眠りにつこうとすると
部屋から ひどく遠いように
とても思える
煙草の煙を見つめながら
色々なことを 考える
自転車を こいで
ギターを弾いている
....
一個の詩を思いながら
何もないのだろう 私の言葉を
日は 知っている
暮れている 私が 私の夜を
そんなため息の中で
ものごとを そして ひとつ描きながら
わからないことに は ....
目の前にいるあなたを見ているようで
私は遥か先の縁をジッと看ている
それは近い先であり
ずっと遠い過去でもある
繋がってしまうから
まだ体が在ったころ
「まったくキリがないよ」
お気に入 ....
ひとめぼれをして買ったお護り代わりのパレッタが
一年程見当たらなかった
こどものゴムや100円ショップのクリップで間に合わせていたけれど
落ち着かないので 誕生日の自分へのお祝いに
昨日 新し ....
壊れた心、臓物のように引きずって
子供たちが地下鉄から降りてくる
例えば
真夏の入道雲や
金平糖の角
モクモク伸びて
ピカピカ光り
妙に尖がっていて
先っぽで転がっている
そ ....
いま、帰って行った女の子は、
高級店の女の子。
いつものお店より、2倍近くも高い。
いったい、そんなお金をかけたら、
どういう女の子がくるのか、
経験として、知りたかった。
ぼ ....
夜が大きく手を伸ばして
落ちかけた太陽を捕まえようとする
呑み込まれそうな藍色に
目の覚めるような橙
空は虹色に染まる
笑っちゃうだろ
もう何千年も
同じこと繰り返してるんだ
「愛をください」
そう張り出して何年も経ち
今やそれは
誰も気にとめない風景となった
年月がたつと色あせる
看板の前に立ち尽くし
皺だらけの手をしばし見つめた
「いいえ、信じない ....
夜の夏に迷って
昨日の夏をたどった
歩きつかれて座る
椅子は今日もある
太陽は沈んで
君を隠してしまった
星の君は優しくみえる
ほんとの君みたいに
過去にもどされてみたかった
....
蛾が舞う
びいどろ焼けた肌
今日は木曜
粘性の雨
水あめ
甘い茎を廻る
二十ニ色の蛾
電信柱の骨
涙浮かぶ川ふたつ
中洲の向こう
ひとさらい
手も足も
舌の ....
きちがいのきれいな歌声が
鞠のように転がる夜明けの街路
途切れた記憶が空気に触れて
朝露となってショーウィンドウでこと切れる
ぼくは眠れなかった
きちがいの歌声 ....
『ビュービューの実』の
俺は風人間
打撃も斬撃も
....
私は砂糖菓子で出来ている
科学者の興味で作られた
私の体は砂糖菓子で出来ている
誘え
誘えと
中から声が聞こえる
あまい身体で男を誘惑しては
愛されることに溺れていっ ....
どうしても欲しい本があったから
適当な理由をつけて仕事を切り上げた
書店の前は長蛇の列ができていて
整理券は僕の少し後ろで配り終わった
それを確認すると並んでいた人達は一気に散らばっていった
....
おばあちゃんは パーマをかけてるの?
少女が触った髪
それは 髪、と言うよりも ごわごわの
大きなタワシのような 感触
昔は あなたみたいに
美しい 髪の毛だったのよ
ごわごわの中 ....
夏休み
坂の途中の煉瓦塀
遊び疲れて帰る途
突然、夕立の中
古いモノクロフィルムの
縦縞ノイズのような雨が降る
崩れかかった煉瓦塀の
裂け目から洋風の庭に
飛び込む
そこは荒 ....
こうやって、
毎日毎日絶えることなく
詩は生み出されているのに
ひとつとして同じものがないことに
人間の心の
多様さと
宇宙のような広さを感じて
驚きを隠 ....
それは
芸術家が作ったから“art”なのか
それとも
美術館にあるから“art”なのか
もし前者ならば
芸術家のまわりは………
そう、書き損じの一つでさえ“art” ....
蝉しぐれが猛暑をかきたてる
冷房は好みではないので
網戸からのかぜにまかせている
避暑が強制的でないだけに
それは それは ここちよい
世界は「生かされて在る」という
ウラノスからのメッセ ....
しなければならない事
それは
靴底を磨り減らす事
それは
足跡を固める事
それは
書簡を認める事
先に潜む物を
胸の奥深く捕らえよう
週末には
ビー ....
しずかに流れる時間
ゆっくりと確実に
きつくなる腐臭
これじゃあ
まるで愛しさが
溢れてしまったようで
だからとても
満たされている
ずっとこれから先も
隣に居てほしい
約束、した ....
ある真夏の日
万障繰り合わせの上
故郷の川で
友釣りを始めた
はじめに私を鼻に掛けて
流心に泳がせていく
すると懐かしい
あの顔とあの顔が
あの顔のまま針に掛かって
....
ノートなどを見るのであれば
私は白く綺麗なノートがいいのである
シャツを買うのであれば
とても白くて綺麗なシャツが欲しいという風に
広い海に入るのならば
浅瀬のない 遠くの深い海へと ....
手をつないじゃった
わたしほころびちゃった
言葉少なになった
ほうり込む飴玉
どこもかしこもとろけてる
目覚まし本人確認 奥底の
おでまし頬紅かんざし
遠目にわたし見たら ....
たとえば今日何もできなかったとして
明日も何もできなかったとする
そして昔も何もできなかったとすれば
無能だから
ボアズキョイに行くという
手紙を残して
違うところに行く
たとえ ....
期待以上の事は誰もできやしない
聞いてほしい
見てほしい
ない事ある事
すべてぶつけるよ
よほどの雨 平らなアスファルト 足早に歩く君 僕
濾過され ....
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