跛(びっこ)をひいた男が独り
本屋の軒先を横切る
そこが本屋の軒先であることなど
全く意にも介さず
杖をついた老人が本屋の中から出てくる。
一冊の本を購入するでもなく
じっくりと日課の ....
き、き、
夏空にもくもくと湧き出した巨大な雲たちの間に間を、眩しい白の半袖シャツを着た大勢の子供たちがまるで天使のように飛び交い、
き、き、
炎を混ぜた白い煙をさかんに吹き出す二階建 ....
ある役割が終えて
新しい役割がこんにちは。
(入り口が入口となるような時)
どうぞ、いらっしゃい。
こちらが入口となります。
入口を通るわけですから
名目としては、新しいということ ....
あなたのことが心配で戻ってきました
と言う男がいて
へっと思った
あたしは
その男のことをそのとき初めて見たのだけれど
まるで ずっと昔から知っているようなふりをして
腰のあたりで ....
君には会いたいと
思っていたよ
遅い春の報告も
したかったから
君は相変わらず
優しいから
きっと自分だけが
幸せなのが
嫌だったんだよね
1年4ヶ月凄く
毎日が寂しか ....
働いて
働いて
四角い紙と
円い金属
立ちっぱなし
犬が過ぎる
犬が嗤う
中也の
失くした椅子
生きっぱなし
....
久しぶりに…
君に逢った…
元気かどうか?
笑顔かどうか?
心配していた僕は…
働く君を見た瞬間…
不要な心配だったと…
思ったよ♪
あの頃のように笑い…
幸せそうに話す ....
100歳の詩人のまつ毛には、虹が架かるらしい。
「涙が出さえすれば、虹になってるんです」という。
ふしぎがりの詩人 まど・みちおの映像をテレビでみた。
「自分のここ(まつ毛)に涙、小さい虹が出て ....
わたしはものがよくおぼえれらなんいです
ですらか思い出すとこも思い出せない
わたしはとてもとてもばかです
ばかを恥じることに恥じ入こるともありません
どこからどこでまがわすれたこなとの ....
季節は黄金色輝く稲の穂を尻目に、よくできた鳶色の瞳で追いかけるように単純には語れない 。
晴れ渡る日には地図を描いた布団を干す傍らで、照れ隠しに外へ飛び出す少年の姿も
大きく翻るスカートの裾 ....
ベランダで裸になったまま
何もすることのない私は なんとなく今日はいい気分だった
このまま死んでもいいと思った
そうして いつまでも 私は流れる風に吹かれているようだった
ぼん ....
いきていることが
つみなのだと
ちちはいった
おまえさえ
いきのこればよいのだと
ぶきような
ちちがははにいった
わたしもちちににて
ぶきようだった
にもかかわら ....
ためされていることは
わかってる
と、いって
おとこはさっていった
このよにおとこはいて
はじめから
いなかったかのように
るすでんをさいせいすると
まだいきて ....
肌を剥き
熱を忍ばせたら
恋になるとでも思っているのか
あの人なら
触れずとも
私を炙る
腐るぐらいに
人は何故、殺すのか
人は何故、殺せないのか
普通の者は
殺される側への意識的感応で踏み止まる
が、普通の人間も
対象を下位に置く精神操作なしで、人は殺せるのだ
相手を敵、脅威と見做さずとも ....
ろくさいの
おかっぱあたまの
むすめがいた
こいもしらない
そのむすめが
まさか
よんじゅうにさいになるとは
はちじゅうはっさいに
なるとは
しらずに
....
抱えるほどに
桃を買って
浴槽に投げ入れる
熟れながら
毛はかたく
肌にするどい
桃とわたしの内側は
べたべたしてきている
あなたの轍を見つめながら歩いていた
自転車に乗ったあなたのこころを感じていた
すべてがあなたを守るためだけに
存在している、ぼくは邪魔なの?
帰りの電車でとなりのひとが
....
あのころのぼくをときどき思い出す
お寺で不動明王をみた
石でできたお不動さんだった
こわい顔というより
こっけいなほど醜い顔をしたお不動さんだった
つぎの日図工のじかんに ....
バスが停車するたびに
バスガイドが代わる代わる乗り込んでくる。
口元に引き寄せたマイクから
日本から海外まで。観光地から
狭い路地から、台所から、寝室から
行くこともない土地の話を
そこに ....
....
いちご畑にみんな集まれ
にこにこ笑顔に
さんさん太陽
よんで
ごらんよ
ロックンローラー
七輪にうちわ
鉢巻き巻いて
焼べた赤い火で
唐辛子あぶる
五十五秒だけ待っててね
も ....
楽しかった、お茶碗。
お茶も、嬉しそうに、みんな飲んでくれた。
地元に詳しい郵便配達の人の話が
とても怪しくてゾクゾクしたものだった。
公になった館の中で
黄色くなった木目を見つけては
....
ママは ついに
短パン タンク
にゃんも
もぞもぞ
おなかなめ
ぬいぐるみの
ファスナー
探してる
シャーっと
脱いで
でておいで
小さい
おじさん
会え ....
明日は
何を着よう
ここのところ
明るすぎたから
落ち着いた
色にしようかな
昨日は
何を着たんだっけ
かえたい
かえたいけど
迷って迷って
昨日とかわらない
....
浅葱色の風 信念(まこと)を抱き
今 時代(とき)に抗う 刃となる
強き眼差しは 鬼の如く
ただ 前を行くのみ
決意の背中は 恐れも捨て
ただ 直(ひた)走るのみ
三日月(つき)に ....
朝顔が咲いていた
夏の日だった
もらい物だろうか
テーブルの上に
クッキーの缶があった
食べても良いか妻に聞いた
食べても良いと妻は言った
何事もなかったように
パトカーが ....
八月
隙間のない日差しが街を埋めつくして息をとめた地上
の生きものたちは白い化石になるだろうか
昼下がりの昆虫のように日差しを避けて地下に逃れた
人びとの背にうっすら
あの日の地核の影が ....
君は
ガラスの向こうで笑っていればいいさ
目の前のスイッチボタンを押して
僕がもがき苦しみ死ぬ様を目の当たりにして
笑っていればいいさ
君の家にもやがて津波は襲いかかる
さあ、俺を殺してくれ
お前達のナタでぶった切ってくれ
俺はもう飽いた、お前達の生に
腐肉を漁って生きる習慣に
お前達の笑いにはいつでも裏があって
俺はいつでもそれを見つめ ....
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