暗闇の中で働く
囁く
声と指は一定の距離が保たれている
そのために肉体がある
肉体のために空港がある
滑走路に置かれたピアノは
調律が三時の方向にずれたまま
夜明けの離陸を待っている ....
(案外 他愛ないおんなだった・・・。)
ネオンの下をはなれ
木立わたる風の舗道に来て
男は考える
(案外 純真な所のある男だった・・・。)
ネオンの下をはなれ
プラタナス ....
ユウコ、かつてのぼくはきみが好きだった
ぼくがきみを好きになったのはたぶんきみの気怠さやつらそうなまなざしがぼくの、
ぼくの琴線に触れてやまなかったからだと有馬高等学校定時制課程 ....
道端でキツネが目の前を通り過ぎて行った
少しうつむいておびえもせずに
化かされるのかと怖かったがそんなことはなかった
暑くても懸命に生きているのだろう
少し勇気をもらった
愛しい動物だ
....
いなくなった人へは
何も書けないから
妻へ
前略
草々
としたため
渡した手紙は
洗濯されて
入道雲の下に干してあった
立ち上がる
背伸びをした
その、もっと上に ....
きれいな石を捨てる
単純な計算で
加速していく、
夕暮れの
あなたはそこにいてもいい
まわりには誰もいない
はじめから始まってもいない
想定、かつて
砕かれた液晶を ....
山手線新駅の高輪ゲートウェイ駅前の広大な土地では
陸を走る軍艦を造成していた
(現実がもうよくわからないのです。)
たびたび響くゴーっという音
見上げた雲間に飛行機が大きかった
落ちてきそう ....
浮かび開ける庭園に深紅の薔薇輝き
打ち刻まれる時の鐘鮮やか転覆する、
次元 無色彩色に異人に接する様に
新た次々熱帯び思考という力動発し
浮かび咲く真紅の薔薇深々過去抉り
倒壊し ....
ようやくもの心地ついたよ
って
一旦やめる
一旦やめることを始める
一旦やめることをやめる
そう
こんなもんかって
帰れない夜に
ぐるぐるまわって
溶けるように
こんな ....
白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越え
海に向かって歩いていた
*
漂う磯の香、白波打ち寄せ
空き缶一つ、浜辺に落ちて
独り私という魂が
水平線を覗き込む
遥か ....
○「正常異常」
正常って
正しいという意味かなあ?
異常って
ふつうじゃないという意味かなあ?
○「シルバー登山」
僕よりも年配に見える夫婦が
テントをかついで頂上から降りてくる
....
角の本屋さんの奥で万年筆を売っている
仕事帰りの女がそっとのぞきこんだ
くもりひとつない飾り棚は
そんな町が好きだった
ゆっくりと溶け始めるアスファルトが
蟻や落ち葉を運んで ....
悪人である私善人である私
どちらでもない私
これらみんなが私
いかがかしら?
とんぼが負ける
海岸の匂いをかるく靡かせ
君のスクーターが通りすぎるところ
退屈な一日は始まるより早く終わったりする
君のサンダルが扉の前にぴたり揃うと
呼び鈴が鳴るのに
まるで気づかなかっ ....
あやとりのはじめ。そらへとんでいくともしび。たいようのまわりに。さいているわが。まじわるときは、いっしゅんのまたたき。
そこの普通人
きみが鬼をやりたまえ
「自称詩人が転んだ」
ズキューン!動いた自称詩人は
撃ち殺してしまいなはれ
「自称詩人が転んだ」
動いてないけれど
存在が無意味だから
そこの自称詩 ....
ひとすじのつむじかぜが
ひとりの短距離走ランナーとなる
そのように秋が
いちまいの枯れかけの葉となって
もうコーナーを曲がってゆく
いつのまにか 私が秋である秋、
宇宙を生んだのは何かだ
その何かを生んだのは
何なのか
行方不明の答
空は青すぎてとんぼ光る
永遠は
いつから永遠なのか
始まりも終りも無い
苦しみと喜びの
日回りの花
遠さの感覚は濃密な此処
遠い地平は波打つ黄金
日々刻々と甦らせて、
内深く込められた
今一つの己なる、
永遠の穹窿を。
みうしなう凋落された子 戻り鮭見ゆと
漲(みなぎ)り撓(しな)う 我ならなくに
遠き昔の記憶たち 過ぎ去りし光の中
心の中に佇む 言葉なき思いを Inkweaver
「すみません。ちょっと、すみません。」
耳にした 男の声
近所の『なぎさ公園』
夜空にそびえ建つ高層ホテル
側に 野外劇場の石が組まれた広場
置かれてある公衆便所の灯りだけが ....
こえは たましい
漂っ ている
こえは
森の
乾けない
空
ひきずられる 影
あ
....
○「おばあちゃん」
お盆に帰省した5歳の孫娘が僕の妹にいったそうな
「おばあちゃんはえらいね
あさはやくからよるおそくまで
みんなのためにはたらいているね」
僕はそれを聞いて
亡くなった母 ....
(曙)
薄暗い部屋の中、光のはしごがすうっとか
けられ、それは、雨戸の隙間から漏れてい
て。僕はふとんから起き出て手を翳した。掴
むことはできない。ああ、それでも、光に触
れることがで ....
目が覚める
生存しているのは誰か
私とは誰なのか
空気の中を漂って
街道に迷子している
雲間に揺れている
教えてくれないか
何処にいるのか
誰がいるのか
今も何 ....
絶望をカバンに詰めて
眠れない夜を過ごした
前の日も雨
天気は荒れ模様
回復見込みはしばらくない
午前9時
空港の掲示板に
遅延情報が流れる
ネパールに行ったら
寺院を観 ....
できたことができなくなるのは悲しい
できるはずだったことができないのは悔しい
老いとはできなくなっていくこと
若いとはできるようになっていくこと
迷惑電話が異国から
その国を貶すは下 ....
るるるが死んだ
道ばたにひからびて
転がっていた
れれれとろろろは
葬式に行った
そこにはもう
るるるはいなかった
いいやつだったな
いいやつだった
やさしいやつだったな ....
向こうがわによく似合う
それは
眠るまで明日を意識させ
沈んでゆく
畦道
そこここからする鳴き声について話そうと
すっぽりと抜けた数日前の言い訳に
突き動かされ明日を生きる
今 ....
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