こんなに苦しい思いはしたくなかった
軽快に、爽快に生きていたかった
すべてはきみと出会ってから変わった
僕の心は押しつぶされて
呼吸も出来ないほど
きみが他の誰かのものになるのを
....
16時35分
視線を見開き 曇天の空を仰ぐ
視線を細くして 雲の切れ目が刺す
光の線は 川に降り立ち 流れる
17時10分
光の線は 炎を帯びながら
薄れゆく景色に 目もく ....
誰も知らない部屋で
息を殺している
見ていた
遠い 街を
隣町まで行く
車に轢かれそうで少し怖かった気がする
ラーメン屋の前を 通り過ぎながら
自転車で こいでいく
....
銀紙のいたみが残っている
なにをつつんでいたのだろう
じょじょに
曲がりくねり ながら
朝になって夜になって
夜になって
夜になって
言葉はみじか ....
消えてしまいたい と
わたしの心は嘘をつく。
死んでしまいたい と
わたしの表象に刻みつける。
心はわたしに嘘をつく
世界はわたしに嘘をつかない。
わたしの四肢が 動きを求める ....
今日も
緊急車輌の
サイレンひびく
街中の
かげろうたちが
立ちのぼる
ビルの谷間で
落っことしたもの
探してる
巣食った暗黒の
深いところで
救 ....
妙に湿度が高い9月の夜
女のように鏡に向かい
毛抜きで眉を整えている
雑音混じりのエフエム
レイ・チャールズをカバーした
女の唄声は錆色にけだるい
重たそうに塗られた睫毛と
熟れ ....
地平線を
誤魔化すために
僕らは旅をする
目的地も地図も
ましてや往復切符なんて
棄ててしまった
僕らの故郷は
ごみ溜めの街
まるで深い森のようだ
....
信じるということは黙っていること
だからかな
月はいつも無口だ
ひたひたと夜に歩いていると
しらずしらずに素直になる
だれもがなにも言わないで
暗い夜に白くなり
明日がこっそり訪 ....
王女の名を持って生まれ
運命のいたずら
雑草の間に
根を下ろすことを余儀なくされても
小公女のように気高く
品位を忘れぬ立ち居振る舞い
汚れない肌
たとえ
嵐になぎ倒され
獣に踏みに ....
石ころのように
蹴飛ばされた
君の命が
川の流れに
ぼしゃりと飛び込み
揺らめく水の底を
ゆっくりと転がって
手の届かない
透明な棺桶の奥から
空を見上げ ....
ジョーが打たれて
コーナーに戻って来たとき
朦朧とした意識を
回復させるため
セコンドの丹下段平が
アンモニアをジョーに
嗅がせていたのを覚えていたので
最近頭がボーッとして
ハッキリ ....
いつもすでに記憶だった夏の日に
俺は裸体を晒した少年少女達と
沖合を鳥が群がる海を見たかったが
だれひとり気付かぬうちに
海原を舐めて広がる火の言葉に焼かれた
熱気だけが渦巻く無音の嵐に ....
一人旅は
化粧をして理想の自分になれる
いや一人旅は
化粧を落とした素の自分になれる
いやいや、一人旅は
化粧を探して新たな自分になれる
善人では達成できないことがある
後ろめたさがあるから投げ出せない
許して欲しいとは思わない
いまは辿り着きたいから
シンプルに濁点をひろう
歩幅は正確に保ったままで
ぼくたちにはちいさな物語しかない
そうしたフレーズには語弊があって
信号に、プロミスの看板に、防空壕に
わらいながら灰色の花をか ....
夏ゆく渦中の生が他生を殺して
何の声もきこえない台所
コルクを外し
のぞきこんだ硝子壜の帆船
幼い汗を嗅いだ
子供のおこがましさのまま
巨星に打ち捨てられる
過去の魂に対峙して
そ ....
わずかに赤を含んだ
初秋のねこじゃらしが
風にそよぐ
そよがれて
よみがえってくる
植物ではなくて
あいつらのしっぽだった記憶が
猫が
ねこじゃらしの横を
素通りできないわけは
....
履歴書にはポジティブシンキングと書いた
リコーダーを葉巻のように咥えてもアウトはアウト
ないものねだりでドクロのネクタイしている
午後六時十五分頃の
日に焼けた街のことをきみは歌いたかった
八月……
その燻すんだ終わりにむけて
けれどもきみの細い首で
ネックレスが曲がっている
飴色 ....
話すことに疲れてしまったから
いつもうなずくだけで済ましてしまう
何か言おうとするけど
最後はやっぱりだんまりだった
それでも聞くことはやめないようにしたかった
こんにちは 元気?
そ ....
ため息ひとつ、に
ざわりと肌が蒼くなる
胸のあたり
寄り添っていたものは
事も無げに剥がされて
冬晴れに干された
枯葉みたいに宙を舞う
振り返って見えるもの
そ ....
雨にとけてしまいそうなウチ
それでも傘に入れてくれるん?
いっしょに流されてくれるん?
闇に揺らめく蝋燭の火をじっとみつめて
僕は問う
――どうすれば夢は叶う?
ふいに背後を行き過ぎる謎の影は
声無き声で囁いた
――その階段を一つずつ上るのみさ
....
1 青淵
朝霧を裂いて中空の鉄橋を渡る
電車に積み込まれた多くの人は
もう知らないだろうけれど
遙かに下を流れているこの川に
大勢の人が落ちた
所々にある澱んだ淵に
もぐった ....
遠い日
私をすこやかに育てなおしてくれた人よ
今
あなたの真似事をしています
背負ってしまった陰を呑み込んで
人知れず水鳥の如く足掻きながら
あなたは
微笑むことを忘れません ....
言葉なんて要らない
あんなにも人を動かす言葉なんて要らない
街のさびれた一角の
小さな自転車屋の店内で
カンカン音を立てながら工具で自転車を直す
あのおじさんの鋭い技術が欲しい
....
昼夜が逆転してしまう
人波の中で
わたしは1人ではなく
たったの独りなのだと
知りました
隣の部屋には
毎晩アコギを手にする音痴さんがいて
毎晩薄い壁の向こうで泣いているの
「 ....
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