「ある」
どん底じゃないと思う
まだジャンが居る
お米と部屋が、ある
夜、寒い空、通りの電灯が私の肩を叩く。
「お一人ですか」
道に捨てられた日記に書かれた言葉
唇
風
匂い
青
秒針が心音と共鳴 ....
水に編まれた者たちは
銀の縛りを解きたく
銀の向こうの
金色を請う
その
或る種の隷属がもたらす
透明な階級
整い過ぎた軋轢を
整え切れぬまま
王冠は
かろうじて
霧の中 ....
花が草が虫が獣が 生国を知っている
潤いがたちこめて 生き物たちを通わせるのです。
人間のしでかす すべてのことは隙間だらけ
人の皮膚の隙間という隙間を ふるふると震わせる霧
穴ぼこ ....
水を張った洗面器
顔を沈める姉
ストップウォッチを押す弟
呆れて素通りする母
あくびをする猫
どれだけ息を止めていられるか
平凡な家庭のちゃぶ台の上で
流行ったのは
危険な遊戯
....
詩を綴って
日が暮れても綴った
そのあとに
後ろを振り向くのは
偏りを気にするから
人を追い抜いて
全力で追い抜いた
そのあとに
後ろを振り向くのは
楽しさから伸びる孤独に触れる ....
刑場通りの夜は暗い
かまどうまになったわたしたちは列をなし
水を求めてこの通りを進んでいった
途中 家々の窓はかたく閉ざされ
明かりもつけずにこちらを探る気配が窺える
あの人たちも結局は同じ ....
かつて出会ったことのある
街で 見ていた 人の流れ
その 誰もいない 部屋に沈む夕暮れ
そのとても赤い風景
今日も自分の心の中で
帰っていく人の顔の冷たさの中にいる
隣の人は ....
もうさがさないでくださいあたいのこと
どこにもいないのですから
かぜのなかにさえ
あなたのこころにさえ
人魚でもない星でもない
あるいはおんなでもない
もう時間がないのです
いつ ....
背中に一本の薔薇を生やした猫が
窓辺に座って、ずっと外を見ていた
一度だけ晴れてみたいという
空の悩みを聞いているのか
目の前の邸宅の主人のハゲ頭の上に
苔むした狡猾を笑っているのか
隣か ....
1000日まえに
あなたがはじいた額のうぶ毛が
わたしの下腹であわい振動となって
いまではすっかり花のよう
つぼみとも種ともつかぬ時間が
おいしい毒になって
いつかあなたにも届くと ....
なんか
おいめの
ある
にんげんの
ほうが
すきな
きが
して
ぶさいく
とか
としま
とか
そっちの
ほうが
なんか
だめだし
すきな
きが
した
かわいい
....
大きな鍋にカレーを作る
一日目
仕事前にカレー
昼に持参カレー弁当
夜寝る前に腹一杯カレー
二日目
仕事前にカレー
昼に持参カレー弁当
夜寝る前に腹一杯カレー
三日目
仕事前にカレ ....
いくつもの季節踏みしめ
過ぎゆく時を気にもせず
駆け続け ひたすらに
足元だけ見つめて
こころ揺らす野辺の花
こころ誘う憧れを
しまい込んだ小箱の
朽ちるにも気づかず ....
日本に住む憎き妻を
殺害するために
赴任先のアメリカから
韓国で開かれる学会に
出席することにして
一旦韓国に入国した後
手漕ぎボートで
日本に密入国する
妻を殺害したあと
また、ボ ....
僕は自分の心を持て余す
君は君なりに気持ちを表現しようと
躊躇いながら恥ずかしげに
僕にキスしてくれるのに
僕は自分の心を持て余す
抱きしめても
抱きしめられても
それでも欲深く
....
高気圧が低い
保険効くのか聴いてから帝王切開
履けない草鞋を編む
おにさんこちらてのなるほうへ
追いかけても
誰も捕まえられなかった
嫌になって
薄目をあけると
どうやら
周りに誰もいない
口惜しくて
やみくもに走ったら
迷子になった
何 ....
じょうりくが
さいきん
やさしいから
たぶん
つきあえる
きが
する
けど
ほんとうに
ほんとうなのかと
おもって
たぶん
ちがう
きみの手を握ったとき
カモメたちが空の低いところを横切った
それから 二人で歩き出したとき
潮風が鼻をつんとついた
沈んでいく夕日のせいなのか
き ....
雪がふる夜は、まぶしくてどこにいたらいいのかわからない
でも適度にフラッシュを焚かれて白飛びした街は綺麗で、
ずっと同じ時間にいたいと思わせてくれる
背中の骨がつばさの名残だなんて言われても ....
女は戯画のなかのインディアンみたいな出で立ちをして
紙紐を使って ベッドに男の四肢を括り付けていた
人工の冷めた光は磨りガラスの窓を白く染め
取れかけた口紅を不気味に照ら ....
この冬 市内に雪は降っていない
睡眠中 姿を見せたかもしれない
長年 南の島にいたので この冬も雪を見たい
私の心ばかり銀白が赴いてくる
輝く空気は 銀白は表とは裏腹に 暖かい
この ....
ギザギザの鋏が切り分ける
夕暮れ時の空と山を
営業車に乗って
ただぼんやありと見ていたら
早く家に直帰して
キッチンに立つ妻を
背後から抱きしめたくなった
フロントガラスの映像が
....
朝の心地良い風が優しく吹き込んでくる窓辺にほんの少し黄ばんだキャンバスを置く。
そこに描かれた幾重にも塗りたくられた意識の高揚をじっと見つめる。
その高揚の中には、自信と自惚れ、嫉妬と蔑み、夢 ....
掘削船がやって来る
おれの堆積した泥土を掘り返す
脳だけクラゲの揺蕩いで
光の海に温む予定が台無しだ
山の麓に猫女が住んでいるという
噂の真相を求めて捜す者も多いらしい
捜 ....
私は何も知りません
生きているか死んでいるかなんて知らないのです
私が知っていることは
この世界にいるというだけです
ただそれだけ
優しい乖離を抱きしめている空白の午前、見開いた眼の充血はすでに失われたかけがえのないものに照準を合わせ、ショート気味の脳細胞が認識するものは片手で足りる理由だけだった、窓の外には希望を ....
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