『難破船』 あおい満月
(書きたいなら、食べなさい)
誰かの声に瞬きをすると硝子の壁の向こうに、
肉や魚や、
色とりどりに切り刻まれ、
煮込まれた野菜たち ....
始めたことを終わらすのはとても難しい
なにをしてなにを考え生きていけばいいのだろう
心は体に引っ張られ 体は心に引っ張られ
お互いをすり減らしながら伸張を繰り返し
伸張の隙間か ....
光は5感を解き放つ
闇は5感以外を育む
いつでも どこでも 受け止められる
いつだって どこでだって 受け入れられる
愛 風 色 音
感覚 欲望 感情 思考 ....
どうしてわたしと
出会ってしまったのだろう
わたしのこの気持ちは
どこへ向かっていく
貴方には彼女という
存在がいるのにも関わらず
抱いてはいけない気持ちを
抱いてしまった
....
きのう
電線の張替工事があって
声が途絶えた
それからというものの
すずめの親鳥が
トランスのあたりをちょろちょろしている
巣は
除去されていたよ
それから
ふだんはこの街にいないは ....
最後の日に神がのたまわり文字を走らせる
全ての血と肉や
まだ見ぬ命はあらゆる予言を生むだろう
すべては若者となり
すべては具現化し
すべては老いぼれとなり
やがてふやけた夢を見るだろう
....
わたしは貴方の名前を知らない
貴方はわたしの名前を知らない
週に5日は顔を合わせるのに
そのスーツで凛とした姿は
毎日わたしの目を釘付けにする
貴方の待つバス停と
わたしの待つバス ....
森を歩くと静かになる
−緑に包まれ落ち着いて
静かになると森を歩く
−落ち着き緑に包まれて
森を進むと暗くなる
−緑に覆われざわめいて
暗くなると森を進む
−ざわめき緑に覆われて
....
はたしてこれは幸せなのか
休みの日には朝にどか食いをしておなかをこわし
追い打ちをかけるようにビールをあおり
家のことはそこそこに
気がつけば一日中NHKを見ている
いつもなら国会中継の日に ....
夏、紫陽花が枯れる間際に
綿菓子のような雲が流れる
雷が鳴らないかと
干した布団が夕立で濡れないかと
そんな心配はお構いなしに
もくもくもこもこ空高く積まれていく
暑い暑い汗に ....
それでも時は流れていく
ゆっくりと
淀みなく
立ち止まる想いを押しのけ
焦る足元も
掬いあげ
鳴り響く発車のベルの音
口ごもる詩を
何度も試み
置き去りにされる記憶を
追いかけ ....
容赦なく
照りつける太陽から
逃れるように
白い日傘が路地の奥へと入ってゆく
打ち水をしたアスファルト
ゴーヤ棚が繁って日陰をつくっている
縁台でのんびり寝ている野良猫
軒下には硝子 ....
どこか遠くで煌めくような
そんな言葉ばかりで飾られた歌が
どうしてあんなにも心地よかったのか分からない
あなたは虹や光や波や月といったうつくしい言葉だけを並べて
さようならもさりげなく同列 ....
洗面器に顔を近づける要領で
わたしは水面を覗き込んだ
ひんやりした柔らかい手がわたしの頬におかえりと言った
ぷくぷく…彼はそんな言葉でおかえりと言った
久しぶりの感覚だった
あなたの手は ....
透明なインクの入った透明な万年筆で透明な紙に透明なうたを私は書きたい
人生の沸騰する地点に足を踏み込むと
風景は次々と変転する映像となり
社会の新しい通路がどんどん扉を開き始める
人生は貪欲な海のように
人から物から制度から巻き込んでいき
至る所が ....
きのうの
夜が
いっこうに明けないので
けげんに思った
俺は
はっと気づいて
かろうじて
きょうの朝に
飛び移った
ゆれるゴンドラから
ゆれるゴンドラに
飛び移るよう ....
死二対シ
ワタくしは もっと
近くで 見てもらいたいのです
それは 死か? ということに
薬物が 刃物が ネクタイが
死では ナイでショウ?
もっと近くでみても 良いですか
少女は 聞 ....
想像上の鳥
想像した空を飛ぶ
想像した空に
想像した月
想像した太陽系は
想像した私の住む世界
欠けていく月
駆けていく足
描けていくマリア
賭けていく金貨
積み上げられていく積み上げられていく積み上げられていく
はてて
決壊打ち捨てられ
波打ち際
書けていく書けていく城
流木 ....
あの頃の街
口笛吹きながらナンパしていた兄ちゃん
甘ったるい匂い
風景がゴミまじりに鼻腔をくすぐる
カラフルでモノクロ
誰に恋していただろう
誰とつるんでいたのか
会えば
笑顔で「よお ....
ひとつとして同じ物は無い世界にいきる
夢はひとつとして同じ物は無い
だが人はひとりで歩く哀しみに騙され
群れようとする
己を守ろうとして群れをつくる
均一を図る愚かしさは恐れからやっ ....
歩いている
歩いている
歩いている
やはり
歩いている
道
のようなところを
雑草が茂っていて
誰かがいつか通った
だろうと思うけれど
他の人はいないから
分から ....
絶対
とか
永遠
とかいう
言葉は苦手だったけど
ずっと
って言われると
うれしくて
ずっとずっと
続くんだって思ってた
ずっと
って
終わっちゃうんだね
知らなかっ ....
五感に塩漬けされた記憶の味が
酸っぱくなってゆくようだ
母は既に亡くなり
カビの生えた世間知らずの正義と理想を
空は紐で繋いで晒し者にする
生温い風に扇がれて
都会のビルの間で尾鰭を振 ....
部屋に海が落ちていた
魚の姿は見えなかったが
遥か遠くを
タンカーが航行していた
朝のうちは
キッチンの方へと吹く
潮風にあたり
そのように過ごした
午後 ....
愛とか恋とか売買できるものだと思っていた
遥か遠い叶わぬこの気持ち
たくさんの壁があるこの気持ち
声だけで繋がれるこの気持ちは
一体なんと呼ぶのであろう
貴方の頬に触れたいこの気持ち ....
先人は言った
「高く翔べ」
「真っ直ぐ翔べ」
「ゆっくり翔べ」
しかし私は
ゆっくりとは翔べなかった
あまりにも
あまりにも生き急いでしまった
堕ちた翼は
折れた翼は
二度と翔 ....
川の底で
石くれが削れていく
棚の奥で
干菓子が湿気っていく
人がまた
一つずつ年老いていく
失われていく何かを
今日もただ見守りながら
床の上で
米粒が乾い ....
ワン、ツー、スリー
君と踊る
ワン、ツー、スリー
あなたと
ワン、ツー、スリー
私と
漏れ出る言葉は爽やかで
響く心は心地が良い
穏やかな目と
軽やかな声色
あなたたちが受 ....
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