いま目の前を上り列車がひとつ通過いたしまして、さてさてお集まりの皆々様よ、おんなののろいをみたいとお集まりで、おんなのなみだをみたいとお集まりで、ついでに死ぬおんなや殺すおんな、蛇やら龍やら見せましょ ....
嫌い、っていうと
とうめいなこざかなが
わらわら 集まって
そこに
かすかな波を生じる
なんだろうこんな不安は
好き、っていうと
ちいさなひなげしが
いっせいに帆を上げて
あ ....
一瞬で
りんごもにんじんも正論も砕かれ攪拌されてどろどろのジュースになるみたいな
彼女だけの鋭いミキサーのすいっちは日常のいたるところで押されるのだった
あるいは一瞬で
女子なのにおおかみ ....
男女の歩行者
人の模様と
いうものを考えた
ことがある
中肉中背の
男女二人
素敵な印象
ソッソッソッと
歩いていた
一日という、すべての人間の背後に貼りつく不気味な影を町中に伝播させるため、始発電車は今日も出発する。朝は既に始まってしまっているので、始発電車は出遅れるのだが、そこから改めて朝を始め直す力を巨 ....
既に夜だというのに
空の明るさは
人の灯りを
消し去るほどにまばゆい
窓を閉める
潮のにおい
窓を閉めない
暗がりの
うすい手のひら
山を削る白い ....
鏡よ鏡よ鏡さん
あなたを壊していいですか
拳をあなたに叩きつけ
粉々になったあなたを使い
あの子を壊していいですか
鏡よ鏡よ鏡さん
あなたが壊れてしまうよう ....
サーカス小屋の団長はよいこが大好きでしたから
子供たちは 今日もこぞって 団長に
誉められたい、認められたい、ためだけに 献身的な言葉で言い寄る
(私は団長のために 右手を捧げます、明日は ....
冷えた三角形がピアノ線で
夜に吊るされ 波打っている
白いチョークで昼のうちに引かれた
いびつな線路をたどり その女は
むかつくほどきらいな男に会いに行くところだ
....
とっくに見飽きた映画を
繰り返してもう何度目だろう
眠れぬ夜の過ごし方
時間潰すのヘタみたい
キレイな景色を見ていたい
砂嵐の先の海
隣の犬が鳴きやんだ
空に揺れるカラーバー
....
盤面に行儀良く並んだ歩兵
敵の攻撃を真っ先に受け将を守る
時には味方にも無視され
時には邪魔もの扱いされる歩兵
敵陣深く突入して将となるも
あっさり討ち死に
そして 次には
味方だった将 ....
風で鳥になっていた。
京香の両手首をつかんで、ぼくがうしろから広げていた。
強い風がしばらく続くと、京香はあたまを前へ前へと落としていった。
そのたびにぼくは手首を強くにぎりしめ、腰 ....
モザイクのかかる鼻だ
オレの歌がカラス避けCDにされている
「求めてるものは何ですか?」
テレビレポーターが
街の人に訊いていた
「求めてるものは癒やしです」
街の人は答えていた
コングロマリットなんだ
この世はコングロマリット
人と人は
同志 ....
とある船乗りがいて
心に窓を持っていた
長い航海を終えて
陸に上がると
海の上はもうこりごり
これからは陸の上で
のんびりと暮らすんだ
なんてぶらぶらしていたが
しばらくすると
窓が ....
あなたの名前が好きだ
あなたが生まれた朝
どれだけの人が喜んだかがわかる
あなたの生まれた世界で
どれだけ幸せでいてほしいかがわかる
あなたの思い出が好きだ
まだ陽が高い青 ....
ウォチマン
広いガソリンスタンド
車のトラブル
なかなか、解決できぬ
頼むと、ウォチマン
駆けてきて
直してくれた
人のために働くことは良し
そう思って
そっと書いておく
ついつい、
人を殺したくなるので、
伸ばした黒髪で、
十本の指を縛りつけ、
あの街角には、森の声、
花の咲かない街では、
ささやかな、比喩を分け合う、
蝶々たちの、いじらしさ
....
木々があいする木漏れ日のこと
川がめでるせせらぎのこと
雨が求めるつちの渇きのこと
太陽がほしがる水溜まりのこと
夕日があこがれる水平線のこと
朝陽がのぞむ暗やみのこと
....
人は
どのように生きてきたかを子孫に知らせたいのだ
知らせなければならないのだ
どのようにして人間は生きてきたかを
私はきのう見た夢の事を思い出していた
海岸に乾物のように干からびた ....
(あを。あを。あを。彼らを)
(僕らとは呼びたくない。海を見た事の無い僕)
(たったさっきまでひらがなを綴っていた。)
(塩水を海水と呼びたくもなる。瓶が卓上に敷く陽光の)
(シートの下に掌を ....
パソコンは
増えて
一台に
一匹
ゴキブリを
棲まわせる
これで
終わり
清潔な
世界へと
増え過ぎた
ゴキブリは
一匹に
一台
パソコンを
用意され
出荷される
....
心の中の言葉
感情の形
実像との差異
何が本当かわからない
気持ちが溢れて
流れる涙が
現実に沿っているのか
ドラマを踏襲したのか
浮かびあがる気持ちが
首を締める
目の前 ....
きみの真っ直ぐな眼差しに あたしは
耐えられなかった 大人のふりをして
夢みたいなこと言っちゃだめ なんて
夢を見たかったのは あたしのほうなのに
あたしは臆病だっただけ
子供か ....
迷子みたいにブラつく
空っぽの大地
足取りおぼつかないけど
歩けないわけじゃない
どこへ行けばいい
道なんてないのに
どこまで行けばいい
果てなんてないのに
名も知らぬ花のよう ....
そうしてすべてがすり身となるのだ
肉も魚も豆も米も野菜も一切合切
ミンチよりも細かくなめらかに
均一のペーストに
そうして型成される
ソーセージのような蒲鉾のような
なんとも名状しがたい食 ....
どこか霞んでく明日に
目を細めて笑うそんな日々
何も無いと思ったって
それだけじゃないことわかってる
どちらかと言えばね
あの日に戻りたい
でもね戻ったって何も始まらない
さらば愛しい日 ....
ないものを
あることにする
あるものを
ないことにする
私たち姉妹は嘘つきだった
なんでも切れるナイフのように
いつも嘘を手に持っていた姉
風船のように嘘をつき続ける私
....
寺院で騒ぎがあったらしい
昨日から兄貴が帰ってこない
女を手引きするだけの簡単な仕事だと
銃を置いたまま出ていった
雨が上がった裏庭で
濡れた望遠鏡が星を落としてる
対岸を覗く ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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