さようなら
さようなら
みんな簡単に手をふるけど
この夏は
一度きりの夏
君も
甘夏色の帽子をふって
家路に着くんだね
僕は途方に暮れている
渡したいものがあるけれど
今日は誕生日でも
記念日でもない
項垂れるむこうに
ぽっかり浮かぶ
....
目覚めると光が降り注いだ
何ものも 邪魔しない
うつくしい朝焼けに
私の心はじりじりと音を立て続け
どこまでも形を失いそうだった
昨晩は
正しくない言葉が
海に捨てられて ....
蝉時雨しか聴こえない
それがどんなに
静かで豊穣なことか
思えば遠くへ来たもんだ
俺はもっと平凡な人生を歩むと思っていたよ
それがどうだ
こんな仕事に就き
こんな病を得
こんな人と ....
この手に
白い本を抱えて
まだ見ぬ夜明けを
待っている
今は さよなら
いつか必ず 君の事を
確かな形にして
受け止めるから
待っていて欲しい
あの夜から
随分と遠 ....
右耳の中に抱えた不発弾は
頭の芯を溶かすように
熱をじんわりと継続させる
一筋の涙が頬を伝うのに気づきもしない
耳の後ろのリンパ腺は腫れ上がらない
熱は永遠に下がらないのではないかと疑いたく ....
朝の風は楽しい
太陽は眩しくて暖かくてそして青い
人が動物が草木が
元気に生きてる
それに比べて
夜を走る風はなんだか切ない
暗くて冷たくて黒い
音もなく死んだように静かで
月の明かり ....
友人と 目を閉じて 新宿を歩いた
どうということもなく その
道を いつか来た しかし
よく 寄り道していた道を 学生の頃は
喫茶店に入り それから
飲んだ アイスコーヒーを
....
オレンジ色のままでもよかったのにいつからか
あかね色になったあたしの空
いまでは茜音色と
私はたぶん気取っている
毎日想うあの夕空をもう一度見たいだけの
未練でしょうか
誰か何かに謝りなが ....
ホンネ/曇った窓
#1
冷たい風が吹いて表面を曇らせた窓
一方的に語りかけられるおまえの主張に
俺は心の内を打ち明けることはできない
混ざり合うことのない温度差
窓を ....
見いや、この島
まさにここは 宮古島
都は無いが 宮古島
とってもとても 良い┣コ口ゃヶン
「2組目、スタートしろよ。」
....
猫たちにマスクをつけて
何も話せなくしてやろうか
困るだろうな
好きな魚のことだけでなく
美しい花の名前も
果てしない星座の位置も
伝えられない
そうなればこの街を
....
毛糸を無心した
小母さんに
なんにつかうの
あやとり
やさしく笑って毛糸玉
手に取って切ってしっかりと結んで
はい、って
六歳が一番ほしかった
あかい色の毛糸でくれた
バスのなかで羽根が舞う
バスが真っ二つになる
森林を枯れ葉たちと行く
アスファルトの山道を
白線がひび割れた山道を
殺人風が吹いている
個体から湧き出る個の欲だ ....
いいよ
傷ついたことないし
生まれつき鈍感で
たぶんバカでね
だから一度くらいは傷ついておかなくちゃ
だからいいよ
傷つけてもいいよ
好きなだけ傷つけなよ
それであなたの役に立てる ....
疑いの木には疑いの実がなり
疑いの種から疑いの芽が出る
その連続を止めるため
生きている疑いの木には
本当の水をやって育てよう
その水はきれいな色で美しい味がする大変な労力をかけた皆の宝
....
名前をかえて
過去をすてて
屋上から飛び降りろ
そして隣のビルにたどり着け
血だらけになりたい
傷つけてくれ
泣かせてくれ
一生懸命生きること以外
....
あてもなく歩くには
新宿か公園か帰り道か
女子をスカウトする
大小の横断歩道の標示
雑誌を投げ俺を叩け
泣きながら歩くな道を
軽く一億を超えてる
屋上からつま ....
殿方の体操選手を見ながら
カキッコするのが
とても好き
もっこりした筋肉と股関
フサフサの腋毛が
縦横斜め、ぐるぐる回転する度に
私の巨泉さんは溢れて
夜、夫が眠りについた後
一人 ....
踏切から身を乗り出せば
生暖かい風が勢いよく舞い上がる
痩けた頬をびたりと打つ轟音は
父の拳の重さそっくりだった
わたしはただ眺めていた
遮断機のぐらりと垂れた腕を
獲物を招き入れる触 ....
血圧が低くなっているのを
眩暈を起こしそうになって自覚する
照りつける太陽の下
息が荒くなりつつあるのを
必死に抑えて歩き続ける
冷たい水を全身に浴びたい
そんなことしたら凍え死んでし ....
天皇陛下が
なんか
自分の考えを(生前退位とか)
言っていた
すげえな
天皇陛下は
天皇陛下っていう
日本の今の
役職を
やっているんだけど
その役職をやっていて
ああいう発言を ....
いや
ちょっと
日本に不満があるので
不満があるっていったら
中国とか 北朝鮮に行けって
言われた
中国 いいかも
いやかも
北朝鮮
いいかも
いやかも
よくわかんないけど
....
わたしはすきだった
ひずんだ道路に影が伸びるの
事実の寄せあつめっていうだけの現実で
出来の良すぎる絵みたいな空気のなかで
混乱したパレットみたいに素敵な部屋で
きみはひとりだっ ....
夏の夜の
祭りの後の
一人の帰り道の
ぼんやりした明かりを孕み
しっとりと、質量を持って
多大なる命を抱き
その質量はまるで手の様で
母の、友の、恋人の、
恩師の、子供の、人殺しの ....
160814
それはラップと違うんでねえのの声を聞き
レゲエの方がの声を聞き
義太夫は迷っているよ
迷っている三四郎
ストレーシープの美彌子に恋をして
....
雨が降るような降らないような
少し 降る ような
降らないような
雨が
砂丘の砂が乾いているような
すこしは
変わっていない ような (そうか)
祭りの陰で
トイレで
しゃがみこ ....
一日が浮遊しはじめ、太陽とともに旋回するに先立って、私は何かを収穫している。赤やピンクや白で美しく色づき、うっすらと毛が生えているこの「桃」と名指される何かを収穫している。夏の果樹園には一面に記号 ....
音がする
夕立の
音がする
慌てふためく
声が聞こえる
慌てふためく
足音が
雨の音にかき消される
無人の道に
雨が叩きつける
地上にたまっていた
堆積物を弾いて
空中にま ....
偽証されたような朝が破裂の熱と共にやって来て窓の外は核爆発のように発光している、カーテンを閉じたままのこの部屋はまるで真空のように現在から隔離されていて、俺はたいがいの部品を土踏まずの穴から落 ....
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