朝のひとときに
部屋の窓ガラスに
打ち付ける様に降る 雨
その降り方は
この身に潜む暗いものも
洗い流していくかのように
雄々しいあなたは お久しぶりですね
あなた ....
溢れる海の{ルビ思想=おもい}を
透いた生命の鼓動にのせて
ぼくはきみに語りたい
{ルビ灼=あつ}い 熱い視線の息吹に恋い焦がれ
ひとり 沈んでいった人たちのことを
ふるえる ....
退職して五年
すっかりリタイア暮らしが
身についたところへ
突然友達から仕事を手伝ってくれ、と言われた
はじめは断るつもりだったが
その話が来てから
なんとなく女房の機嫌がいいので
つい ....
刃ものみたいに
とがった穴を
言葉たちがすり抜けるたび
けずれる
文字とも音ともつかない粉が
一杯になって
それはもうやわらか
刃だってだんだん鈍って
いまはやさしい熊ぐらいに ....
*
孤独は届けられたものだから
*
心臓を意識する
雲に気づいたように
*
あてがあるわけでもないものを
流すのは青空の日にしている
白夜のように月が燃えあがる夜に暗色のシーツに包まれた寝床におまえは横たわる、清潔な寝室のそこかしこに蛆虫のように蠢いている憤りの欠片、それはすべておまえが隠した懐から零れ落ちていったものだ、も ....
余計なものなんていらない
これ以上、荷物を重くしたくないから
必要なことしか考えない
興味ないことで頭を重くしたくないから
ピカピカな地球儀、眺めて ....
花火と恋と生と死を
一つのものとして例えるあいつのこと忘れたわけじゃないよ。
ただ、もう、そこにはいないし
いや、もともとあいつはここに相応しくなかった。
古びた喫茶店で
生 ....
その瞬間を今でも憶えている
怖くは無かった
痛みも無かった
一瞬一瞬を切り貼りしたような
緩慢に流れる時間の中で聴いた音を
今でも覚えている
ニュルニュバ
って音だった
けたた ....
失う事よりも
忘れられる事の方が
どれだけ辛いのかを
想像しきれないまま
大切なものばかり
増えて 増えて 増えて
灯火の様な感情ばかり
胸の奥に 生 ....
「日中剃った髭が
夜にはもうチクチクし始めている
四ヶ月前に切った前髪は
まだ眉毛にかかってもいないのに
数年前床屋の兄ちゃんがにやけながら
「前髪伸びるの遅いでしょう?」
と聞いてきたそ ....
朝からゾンビだらけ
地面で跳ねるおっちゃん
教会に集まるおっちゃん
おだいじに
寒くなってきたね
長袖一枚では少し寒いかな
何か羽織ろうか
それとも厚手のセーターでも着込もうか
そういえばこのあいだ通販で
フェイクレイヤードというものを買ったんだよ
見た目は洒落ている ....
雲間から大首が降りてくるでしょう
まるで惑星ほどに巨大な首がゆっくりと地上に迫り
町は空が遮られたために暗くなります
道行く人々は自分の思いにふけり
あなたも目の前の地面をじっと見つめています ....
深夜
耳たぶを踏まれ目を覚ますと
肋骨が無い事に気がついた
慌てて起き上がろうとしたが
胸がクラゲのように揺らめいて起き上がれない
しょうがないので首を曲げて目線を横にすると
小人達が腰に ....
ひとつ屋根の下で暮らした、お婆ちゃん
僕が生まれるより前に病で逝った、お爺ちゃん
幼い僕の頭をかわいいかわいいと撫でた、ひい婆ちゃん
娘の幸いを願って逝った、嫁さんのお母さん
年老いたある日突 ....
車の中のあなたは雨 避けがたくとりとめもなく
一つの今と一つの場所が移動する 相づちは質量を残さない
「モノローグ」そう題された つめたい彫像として心臓まで
こと切れたままのラジオ ....
「うわなにそのバッシュどこのメーカー?」
「神。」
「は?」
「神からもらったんだ」
おまえらには触らせねーよとか
はいはいわかってますよーとか
いつもの流れ。
でもアのバッシュ ....
初めてある女子大で、講演した
椅子から立ち上がるや否や、スイッチON!
学生さん達の内面に星は煌めき、笑いも湧き
ラスト3分で僕は言葉の直球を――投げた
世を照らすには? 君がここに来ないことです
僕の質問に答えた講演者の、眼鏡の奥で
黒目の力は凄みがあり、会場は一瞬静まった
帰って妻に話すと同じ凄みで、握手をされた
揺れる心は止まらない
そのまま揺らしておくしかない
いつまで揺れているものか
楽しめるくらいの余裕が欲しい
鶴太郎似の万年候補ではなく
又吉が貰ったら
死ぬほど愉快だったのに
重要なのは意外性だよ
イ・ガ・イ・セ・イ!
鶴太郎似は
芥川賞も万年候補だったろ?
そういう意味じゃ
ノーベ ....
濃い青空に
舞う枯れ葉
風
陽光
影をよぎって
歩いて行くのは
今日の私
それを
懐かしむ未来の私の
ここは思い出の中
と思えば
宝石のようにキラキラ
まぶしい
今日 ....
夏目漱石の「夢十夜」という小説の中に
鎌倉時代の仏師・運慶が甦り
護国寺の山門で仏像を彫り進める
というエピソードがある
見物人の一人が解説して言うことには
樹木にはあらかじめ仏像が内蔵され ....
私は風が好きだ
向かい風の激しい風に向かって歩くとき
髪も乱れ、目も開けられないけれども
その風に向かって歩くのが好きだ
....
曲がり角の雨
踊り場の雨
常に潜む雨
葉を照らす雨
理由もなく
人のかたちをしている蛭が
街を造り
歩きつづけている
空の子蜘蛛
低い青
かすか ....
昨夜も空高くに見つけたのだが
朝まだ空高く
月が浮いていた
文字どおり海月のように
どうもなんだか滞空時間が長すぎる
駅に向かうひとびとの列
左、右、左、右、ま ....
*
昨日でいっぱいだった一日を過ぎてみると
何もなかった もう何処にも
やがて夕暮れを噛んだまま
灯りも付けない僕が
何かを乞う人のように
佇んでいる
残されていたのは
顔色の ....
◯(何のために)
教師は
わからない子のために
ある
医者は
病人のために
ある
親は
子のために
ある
強者は
弱者のために
ある
◯(問題)
問題は
....
夕闇迫るころ手放した紙飛行機が
心のなかの星空をどこまでも飛んでいく
夢みる宙のあなたを目指して
、いつか きみの名は と聞いてくれた日
まだない と答えたら名づけてくれた
わたしの名前をう ....
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