淡々と進む
学校の授業中に
別の先生が入って来て
私を呼んだ
おじいちゃんが死んだと
小声で囁いた
今日の朝も
いつもと同じように
朝ご飯を食べると
洗面所に走り
制服に袖を通 ....
流れた血の意味を考える
原因ならば幾つも有る
素手で硝子を強く持ったからだ
悔しくて握りしめた拳の先に
切っ先の鋭い物体が飛び出していたからだ
或いは その涙の色が
部屋の赤玉に 呼応 ....
半開きの瞼に
白々と夜が明け始めた頃
白い月が剥がれ落ちる
半覚醒の壁にもたれかかり
思いがけず振り向けば
通過した秒針が湾曲する
眩しい陽の光が差し込み
脳裏から羊は追い出され ....
世界が世界であるかぎり
わたしたちは夢を見るのだし
なんどでも夢からさめる
放りだされたさいころみたいに
つめたい体を転がしながら ときどきは、
咲いたりもする
咲いたふりをして逃げた ....
死んだ方がいい人がいる
もう充分生きたのだから
死んだ方がいい人がいる
しかし、生きるか生きないかは
その人の自由なので
誰も生きることをとめられない
やめられない、カックセイザイ
....
今はもう
友達がほしいとは思わない
ひとりがいい
だれかにあわせたり
あわされたりしたくない
なにを想っているのだろう
考えるのは無駄だと知ったから
同じ理由でペットも飼わない
....
漆黒の海に救済の錨を深く沈めたまま
誰の叫びも届かない街と交信しあう星々を眺めている夜
詠み人知らずの歌が都市の残照を吸い込んで
無数に浮遊している昏い海面に海月となって漂う
東京湾を ....
数式で書かれた彼女が、数学の授業中居眠りしている。
彼女の意識は夢の中で、宇宙の果てまで駆け抜けていく。
数学教師の一声で彼女の数式たちが飛び上がり、寝起きみたいな顔をしてこっちを見る。
....
悪人とは
自分を善人だと
思っている人である
善人とは
自分を悪人だと
思っている人である
光はエロスの舟
夜の海原を彫り進む
うすべに色の裸婦たち
西風を脱いだり着たり
死は翅を休める蝶
なだらかな土器の窪みへ
そっと脈でも取るように
その中で葡萄酒が笑う
....
剽窃したい人はそこに居て、夏のセロリをしっぽから齧っている。水は生温い
が金魚鉢の赤い魚たちは夢を追わずきょうも元気だ。猫は背を丸めしっぽりと
寝ている。
猫を抱き ....
今は23時37分やろ。
この現実を概念にスライドさせたら、
今は任意の21時17分や。
ここで間違ったらいかんのは
決して今は16時12分ではないということや。
こういったデリケートな込み入 ....
友人
ポプラ
淡雪
{引用=
いずれ途切れてしまうようなことからは、
直視、をこばんでいる、埃っぽい部屋のなかで、
ガレキのように積みあげられてゆく、粗末なボトルシップ、
木製の机のうえの、白いコーヒ ....
平然の感情を取り戻す道程は
岩盤の鋭角の上を歩く途方も無い日常
果てに向かう鳥の群れは本能のままに羽ばたき
生物学的な運命に従う他
有力な解決策はないことを自覚する
目の前にある獲物を無 ....
あばただらけの頬に敷くレール
よろこび工場が煙を吹く
うつむく産後のマトリョーシカ
凹凸のないギアが散らす火花
むずむず
胸が
むずむず
傷ついているのか
もやもやしているのか
イライラしているのか
むずむず
胸が
むずむず
ただまあはっきりしていること ....
何が起きても
見てみぬふりをする土地に
しっぺ返しが 訪れる気がする
何も無く
誰も知らない器の内に
ひとつの鈴が 降りる気がする
手のひらの傷に
....
中途半端に宙に浮く機械が
何度も何度も夢に出てくる
膝の高さくらいにしか
到くことのない不安定な円柱
追手から逃れ
火事から離れ
大学構内を飛び回り
だがある ....
零した涙
ほころんだ笑みが
私をつくった
超えた
山や谷
全ての試練が
私をつくった
受けた愛
憐れみ
恵みが
私をつくった
今
私はどんな
形をしている?
....
「明日はとっておきのを作るから、ちゃんと全部食べてね」
やってきました ついにきました
俺とお前にとって初めての2.14
甘くほろ苦いチョコをこの俺に
....
もう義理チョコさえも
なくなって久しい
今年は
ワイフチョコもない
忘れていたらしい
ないとなると
むしょうに
チョコを食いたくなる
振り返ってみると
両手に抱えるぐらい
チョコを ....
何億年かの時を経て
進化 風化 浸食した
生命と
大地達
吹き荒れる風に
荒れ狂う波に
曲げられ
削られ
順応してきた
アダムとイブの
反逆以来
積み重ねられた
....
つらいの?
私はワタシに聞いてみた
つらい
ワタシは答えた
そっか、ふて寝した?
私は続けた
あまり眠れない
ワタシが言った
眠ったときは、いないよね?
私は問うた
....
ハロウィンに圧され気味なのを
危惧したお菓子業界は
好きな人がいる方角を向いて
チョコバナナを
舐めたり咥えたりすれば恋が叶うといった
恵方巻の要素を取り入れることで
巻き返しを狙っている ....
ガチョウは
野生の雁が飼い慣らされた
いわば、イノシシに対する
ブタみたいなもんらしいが
「この白ガチョウが!」とか
「この雌ガチョウが!」とか言っても
みんなピンとこないガチョウ、もとい ....
明けないはずの
夜が明けて
僕はまたしても
僕の一人を
夜の向こうへ
置き去りにしてきた
明けなかった夜は
もはや異次元
永久に交じわらない
平行線の世界
明けない ....
幸せの街、幸せの国
グロスナショナルハッピネス
GNHが世界一
何が幸せの基準なのか
GDPは156番目
民主主義には程遠い
民族衣装の着用義務
何をするにも許可がいる
それでもみんな ....
打ち上げられた六百頭のクジラにナイフを刺した
どうしようもなく大きなかたまり
どうしようもなく身を投げた人の命が溶け込んでいるから
潮の匂いは生の匂いがする
冷えた肉体をプランクトンが分解 ....
「何のために」
という問いが
常に追いかけてくる
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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