長い一本道で、アクセルを踏み込む
遠くから
フロントガラスに小さな太陽を映す車が
近づいて…すれ違う、瞬間
僕はぎらつく光を魂に摂取して
目的地を見据え 走る
かくも生きづらかった
彼らの声を聞く
声さえ出せなかった
彼らの文字をたどる
文字さえ綴れなかった
彼らの沈黙を察する
自我はもはや
虫の息
消えてゆくのは
超え ....
一回目は
茫然自失の状態だったので
どの看護婦だったか
全然記憶にない
しかし二回目の時はしっかり覚えている
下毛剃りは
てきぱきした感じの若いDさんだった
「この間剃ったばかりだから、 ....
透明な羽が浮かんでいた
透きとおっているけれど
それは無いということではなくて
小さなシャボン玉は
虹を載せてゆくのりもの
パチンとはじければ
虹はふるさとへ還る
ふいに風
....
年を取れば
一病息災だ
病気とともに
生きていくことだ
五十年も六十年も
使っていたら
どこか故障が出るだろう
人間の体も
年をとれば
孫自慢
と
病気自慢で
盛り上がる
「もう、あなたのために何もしてあげられないわ」
そう言って大好きな花は枯れてしまった
遠くで響くサイレンの吹鳴に想いを馳せる
少し興奮を覚えると共に罪悪感も抱く
こんな真夜中になにが起きているのだろうかと
妄想が尽きることはないのだが
自らの想像の貧弱さに吐き気を催す
最低最 ....
時雨
蒲公英
蟷螂
私は川べりの道をSと歩いていた
何があるというわけでもなかったが しかし 日が
差していた 昼下がり そして
あまり私は幸せだったというわけでもなく
街は 五月の 光の中 すれ違う
....
暗がりに恋情を隠す
心音が落ちてゆく
水の階段を登り下り
君の肌の質感に流され
簡素な語彙に抗えない
私の内部の熱源に点される
愛にも似たようなもの
鍵はそのままにして
綺 ....
本気になれば
生まれてから死ぬまで
一分一秒もらさず
動画に保存することが
出来る時代になった
超長編ドキュメンタリー映画
「そこらにいる単なる
ジジイババアの90年近い人生の軌跡」 ....
腕を切らなくするのが
ずいぶんとうまくなった
彼女の
シャンプーの
においの横でねむる
ひっかき傷がふさがるくらいのあいだ
夜と朝を交換した気分で
うすい耳たぶを噛んだ
おもったよりし ....
あした生きていたらひばりは80歳になる
酉年に80になるなんてやっぱりひばりだ
レコードデビューまえ9歳の彼女は巡業中バス事故に遭う
死体としてならべられ白い布を顔に被されそうな ....
初夏の兆しが止まない
桜が散ったのはついこの間のことだというのに
雨季をもろともせず
気温とは上がるものだと知らしめる
若々しい緑が輝きを放つ姿を見て
今だけだと鼻で笑ってやろう
夏が来る ....
小島先生の大きな手が
私の後頭部を襲い
私は前歯を机にぶつけて
少し欠けてしまった
思い出せば鉄棒でも
欠けさせた事のある
前歯のすぐ隣の部分が
欠けて居る
思えば小島先生の手が
女 ....
良く見かける 昔ながらの三つ編み
黒く伸びる髪の毛の先に
赤いリボンが はためいている
拘束された カラフル
誰しもが 似たような意見で
流されて行く 世の中に
吐き気をもよおした ....
もがいて繋げた糸
11桁の数字の羅列と見えない電波に縋ってみたくなる
電話口の音声は合成音だと誰かが言っていたけれど
匿名の 顔も見えないその声が鼓膜を震わせて
すとんと胸のあたりに落ちたとき ....
理性というブレーキを使い
破滅への道を潜り抜けている
愛する人を大切にしたい
何かに夢中になりすぎて
淋しい思いをさせたくない
良心の呵責には耐えられないから
白い景色の中で回るメリーゴーランドに人はいない。
何かの気配を感じる朝はいつもより濃い目の珈琲を飲む。
人工的な村は閑散として涼しげだ。
そして私は今日もまた何かに迫られて過ごすのだ ....
さみしい、のかたちに
折り重なって死んでゆく
ひとりごとのなかに
わたしと似た顔をみつけた
タイムラインの流れにそって
点々と血が湾曲している
スワイプ、画面越しの愛撫
暗が ....
飾り
選挙
電子的
木の高いところに骨がかかっていて
鳥が面白くなさそうについばんでいる
手にしたほうきでつついて落とすと
地面に落ちたそれは乾いて白い
夜中に夢から覚めて
台所で水を飲んで寝に戻る
さっ ....
朝は胸元を掻きあわせる、ひとりぼっちでうす水色の空のしたあるいている、しゃべることのできない胸のうちにぶらさがるのはサナギ、だまって羽化する日をまっている。夕暮れがきた、ほれ、いくつめだろうか、折って ....
怯える白い犬
まるで私のようだ
ふるえる ふるえる
ふるえる
その瞳は弱弱しく
宙を見つめ
嵐に立ち向かうことはできない
古傷を抱えたままでは
戦うことはできない
ただ息を潜めて眠る ....
雨が降っている
間断なく
なぜ 雨を物悲しく感じるのだろう
たとえば 勢い良く降る驟雨は 元気で精悍ささえ感じる
まっすぐで 常に潔い
でも 夜になり 家のなかで ひ ....
退院したら
飲むのを
一番の楽しみにしている人が
けっこういる
そういう人が
退院する際に必ず主治医に尋ねるのが
「先生酒はいいでしょうか┅┅」である
「先生、僕は飲まないと
生きてい ....
淡い知覚の海に
ふと あたたかな弾力
戸惑いながらも知らぬ間に
綻んで往く 原初の蕾
声音と面差しは波のよう
外から内へ 内から外へ
柔らかい殻を脈動させながら
会得して往く ....
わだかまりがあって
心の中にしこりができたが
それをつぼみと思うようにした
抜け駆けがあって
心の中にしこりができたが
それもつぼみと思うようにした
どんな花が咲くのだろう
どれ ....
僕が君と同じ人間でよかった。
泣きながら笑ったり、疲れているのに大丈夫だと言ったり、
そんな不器用な君に「好き」って言える人間でよかった。
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