窓硝子に映った一角獣は
怯えることなく
凛としたまま
そこに佇んでいた
白い毛並みは金粉が混じったように煌めき
燃える炎の赤い瞳はつぶらなルビーそのもの
巻き貝を細長く伸ばしたようであ ....
姿も形もいらないから
心だけが残ればいい
クラゲのように舞うことが
できるだろうか
流されるだけでもなく
音も立てず
生命の強さを感じられることもなく
血液の温かさもしらず
....
今会社が社長に私物化されていて
そのつけがいずれは社員や株主に廻ってくる
そしたら新しい社長には経験不足の頼りない社長がいいのか
やっぱり今のまま会社を私物化している社長がいいのか
....
下りに乗ってしまえば
あの日の二人が見える
ような気がする
けど
いくら待っても
そんな電車は来ない
新宿でも、小金井でも、
君の声が聞こえた ....
アップデート後のメモは+を押して
スケッチを追加すると拡大しながら
線を描き込めるから細かい修正まで
できるって気がついて目の前にいた
ショートヘアの女性を描いてみよう
としたのだけれどもそ ....
(3)
瞳は無機質にも見えるのに
それでいて裂けたように生まれている
一人で簡単に生きているのに
甘えるように近づいてくる
すべて知っているようなのに
それでいて途方もなく必然にい ....
とどかない
比喩にうるおっても満ちはしなくて
コンクリートの水辺にはゆがんだ
月が浮かんでいる
さして、おもしろくも
ないひかりにおかされて夜は
雨になり浸透する
加速しながら泳ぐ群 ....
雨ばかり続くから
私はまた熱を出す
急に寒くなったりするから
私はまた熱を出す
お布団の中はもう飽き飽き
外に出たいと嘆いてみても
熱が下がるわけはなし
締め切った部屋には
風も吹 ....
(1)
思うほどに儚い
単純な強情さで
だからこそとてもとても
大切にしたいのに
光のようにわすれがちになってしまう
哀しみそのもの
(2)
自身の汚れを小さく見せて
それか ....
早朝の駐車場
誰かが捨てたごみ袋を丁寧に
カラスが広げている
コンビニ弁当の容器や紙クズを
ひび割れたコンクリートの上
器用に嘴を使って
秋晴れの清々しい空の下
目ぼしいものはな ....
雨なんて消えてよ
君の帰りを待つ退屈
乾かない洗濯
乾いた心
雨なんて空に
飲まれてしまえ
私を連れて…
口裂けジャックはうたう
陽気にうたって街を闊歩する
片手にナイフをちらつかせ
鏡合わせの貴方を探す
口裂けジャックはうたう
貴方の最期をうたう
看取る瞳は一組で
それは他の誰でもない ....
鳥を殺した、
鳥の死体を地面に寝かせて、
子供は自転車に乗り、
走る、
自転車が鳥の死体を轢く、
ブジャッ!
子供は満足気に笑う、
今日学校に行ったら、
担任の先生が泣いていた、
....
ガチャ―......ン !
い い 痛い !
ここは どこだろう
まわりをみると
きたない 錆びついたものばかり
ぼくも古くて すこし錆びついているから
どうやら
捨て ....
春が逃げてゆくので
真っ白なスカートを切り裂く
歌がテレビを爆破し
使徒ヨハネは妄言で人を救う
普賢菩薩は太ってゆき
梯子の裏側でそびえ立つ
モーセはエジプト人を殺し
窓の中で眠って ....
板は沈まないようだ
どうしてそこに靴があるのだろう
夢が泳いでいる
私は空を飛びもがいている
靴を履かせてくれ
黒が白に力を込めて
草だらけだ
草を二つ用意してよ
そして私を粉々に ....
右の肩を少しだけ上げて
顎を窓の方に傾けて
見える景色は空気の色が違う
雨の滴は線になって
薄い紫色を含み
アジサイを想い出させる
ひとしずく
音を響かせて
ほかのすべての音を ....
「時」に不満はない筈なのに
「空」をすっかり
わすれてる
卒寿を越した 翁 様
暇にまかせて テレビをつけりゃ
食いしん坊 ....
夏の残り香が まだ消えない夜
そぞろ歩く者は みな寂しげで
私まで悲しくなってしまう
何処からか秋の虫の鳴き声が聞こえ
夏が消えていくのを知る
どこかで花火を打ち上げている
火薬の臭い ....
破壊と創造
あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なに・・・
。
....
奥さんは
認知症で入院
今度は
介護していたオジサンが
倒れた!
県外にいる二人の息子は
なかなか帰って来ない
秋の公園は一向に結実しない
紅葉の色は飛び散り
木の実は空の浅瀬に揺れる
大気の鋭さが増すにつれ
秋はどこまでも細かく刻まれ
粒子となって獣の眼に付着する
深まっていくはずの秋が
ど ....
音の無い陽だまりの
小さな影をつまむ
紙と木と水の王国
やがて火へと向かう王国
失望の羽が一枚
ふたつにちぎれ 横たわり
夢遊病者の背の月
三時三十三分の月
....
ナイフ刺さった心の目
痛むまんまで 虫の息
きぶんしだいで咲いた愛
真綿のように 首 絞める
ずいぶん上手にやせがまん
まくらをやぶる白い棘
目を合わせない 紙 吹雪
そん ....
思い出を
思い出さないようにと思いながら
今朝も起きて食べて現実と歩いている
寄せるしろい 腕が
知らない世界へさらいに来て
巨大なしろい フォークが
ざざざ、と遠のいて
それを ....
空気が澄んでいて
夜景がくっきり見える
山の上のレストラン
雑誌によく載っていて
若者に人気がある
昼間の景色も最高だけど
夜景のほうがもっと最高
遠く行き交う船
秋の空気 ....
黄昏は鮮やかにそして静かに去っていった。
闇を目の前にして心はざわついた。
木の実が落ちた。
ピアノが鳴った。
心の暴動だ。
目の玉が飛び出たがへその緒みたいなやつで体と ....
優しさ溢れるその丘で、流れゆく雲を見ている。
草の上に寝転がって思い切り深呼吸。
緑の匂い。小さな花の匂い。澄み切った空気の匂い。
今の僕は寂しくないよ。
あなたの背中を追いかけ ....
街路灯に恋したらしいサルスベリがあって
幹はもう真っ直ぐにはもどれないだろう
と 私などが案じなくとも
それでも愛しくも切ない一本であり
九月の散歩道で出会う度に花の
その数や勢いをまで ....
とてもねむい
まぶたを閉じれば
くらいついている意識もはがれ
夜の底にしずんでしまうだろう
だがわたしはねない
だって金曜の夜だもん
たのしいことがたくさんある
まだまだいろんなこと ....
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