少しばかり荒野だ
もうひとの消えた暴動のあと
キャンプのテントで鼻唄など歌う
凄惨は朝から静謐にくりかえされる
みんな見捨てて
間違っちゃいない
粛々と俺も含めてう ....
ずいぶんと深刻に
悲観的に悩んでるけど
どうしたんだい
意気地がないね
もっと気楽に
のんきに暮らしてみないかい
要領が悪いだけだよ
たいしたことはないさ
そんなことでくよくよし ....
私はトイレ掃除に熱中していた
ありとあらゆる隙間を見つけ
そこから茶色の
時には黒の汚れをかき出す
何かわからない汚れたちは
かき出してもかき出しても
無くならない
私が泣いていると
....
触れれば雨の刃
稲妻の涙
ところせましと息ふきかけて
影の無い真昼に指を降ろす
暖かく 冷たく
慈悲もなく 是非もない
ひとさしゆび
ひとりの入れ物
....
公園には青春が宿っている
この木々も草花も朝陽も大気も
みな青春の息吹で騒然としている
本を読みながら歩いていく人
ストレッチ体操を始める人
青空には白い月がくっきりと見える
失っ ....
『Arabesque No.1 in E majorは渦巻き「Ca」は、一定音域で揺らぐから眠るまでカンパネルラのようにザネリの水薫を探り左手に土瓶蒸しを右手には惑星探査を想い南十字をみあげパペー ....
神無月 湖畔の七竈は
たわわに赤い実をぶら下げ
紅葉が始まっている
見上げれば 艶やかな山法師
実は甘くて美味しいが
何故か 鳥はあまり好まず
足元を見やれば
ぴかぴかの山栗が
....
クラゲが優美だ
イルカが跳ね上がっている
イグアナがのっしのっし歩いていく
森の木々のあいだから空が見える
人間が笑っている
大きな波がループをつくる
飢餓のキャン ....
肉身の疼く
今宵の静けさに
心は乱れ不安に駆られ
詩と死と戯れる余裕すらなく
焼酎を二杯、三杯と
焼け付く視野に
蜘蛛の巣張り
払いのけても払いのけても
辺り一面の糸は ....
生きるのが嫌でも
お腹が減って辛くて
食べてしまう
死にたくなっても
痛そうで死ねない
命はボクらに寄生している
他の命と競いあうのに
他の命を求めてる
なのに老衰とか言って
勝 ....
わたしのキスのするところ
壁のない部屋 ななめのランプ
やぶれて可愛い女のこ
寝息のかげに沈んだ言葉
分別されたメッセンジャー
料金所では小銭が足りず
たりない夢を吐きだす獏
遠くに ....
子どもが風船を膨らませている
まん丸くした目を黄色の風船に
動き回る手足を赤の風船に吹きいれ
白の風船に子どもの自分を
水色の風船にきゅっとなる心を入れている
どれも軽くて
どこかに飛 ....
むきさめの身を冷凍庫から取り出して
そのままホイル焼きにした
まるで許してくれるみたいに
ほどかれながら箸につままれ
ほわりと小さく湯気が上がった
温かくて
ふわふわで ....
遠回りをした先の
二度と通ることもないような裏通りで
黄色い階段をみた
幾重にも黄色く重ね塗りされたような階段
色合いもさることながら
どこへ通じているのか、そもそもここを上る人がいるの ....
例え処女じゃなかったとしても
心は処女かもよ
多かれ少なかれ
私達の気持ち、わかってね?
恐怖に支配される私のために
1人の天使が立ち上がる
疾風のごとく駆け抜けて
恐怖の種を摘み取っていく
私は天使に守られて
この世界にしがみついている
海綿じょうに
たわんだ 個室たちが
アメジストの夜におぼれた
櫂は
まっぷたつに折れて
歌うだけになった……舟
ことばではないわたしたちと
わ ....
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アルベルトは思慮深く
余計なことは口にしない
趣味の時間は饒舌になるアルベルト
心の底から楽しんで
いつでも真剣勝負に挑んでる
アルベルトは真っ黒な巻き毛
分厚い眼鏡がトレードマーク
....
忘れた後、
しずかに思いだした
ひかりのように笑って
銀色の並木道を駆けていく
なめらかで黒い髪の毛
もう 振りむかず、
ひとふさの歌に ....
暮しのネタを持ち得ずに
時空はひとみを失神させて
ただ 黙々と
うたかたの みなおをつくる
卒寿を越した おひとりさまが
無聊のキッチンで
....
カマキリが居たから
飛び込んだわけでは無かった
プールには鉄棒が沈められ
プーチン大統領も沈められていた
ひどい中国語だ
ゴミにも値(あたい)しない
正直に太って行く私を
誰も止められな ....
登山は
快食快眠快便が
大事だ
食欲がない
睡眠不足
便秘だ
となったら
遭難の恐れだって出てくる
登るも降りるも
自己責任
人の意見は
あくまで参考だ
登山すると
大事なこ ....
死にたくはない蛇も
野山の小さき神として生きていれば
その水性高き躰を痛めつけることもなく
死にいそぐおろかなやつとして
(想像上の)指をさされることもなく
泣けない赤い目をぬらし
最 ....
村上春樹は朝仕事して昼間運動して夜は読書するんだとか
面白くないやつだ
こんなやつと比べられたくないから夜更かししてやるんだ
加齢臭はカズオの勝ちっぽいよな
女のほうが男の ....
生まれたばかりの朝に
人々の小さな営みの息づかい
まあたらしい魂の叫び
生まれたんだな
なにかが
よろこびも かなしみも
よちよち歩き
疲れきった夜までは
まだ時間があるようだ ....
なにかを期待するわけでもなく
木は透明な思いで空を見上げていた
野鳥の尖った飛翔が
空間を切り裂くのを楽しんだり
みずからが浄化した
清廉な空気を謳歌している
人がまだいない頃
木は ....
独りに寛ぐこの真夜中
静けさに浸り込み
意識 泳ぎ出す
外界と内界の堺が崩れ
記憶の億の奥へ 遡行し始める
一方で
編み戸からの涼風 すぅすぅと肌を撫で
森羅万象 その形象を流動させ ....
記憶は戻らない
魚となってさっていった
秋の大阪湾のすべてをかんじようと
遠く淡路島までの星々のみちをさがす
泳げないから夜空をとぶよてい
港の教会ではいのりが
毎夜あすへ捧げるも ....
雨上がりの清い空に流れる雲の
感情の軋轢に砂糖をまぶして
二人小さく笑い合えれば
距離感にぱちぱち淡い火花が散って
求めて欲しい
求めていたい
どこまで意思疎通に出会っても
....
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