指された方向に前習えするフリして回れ右
命令通りな一日は
肌が痒くなり仕方ない
健康的な生き方とは
他人を省みないことだ
電車に響く泣き声
道行くカップル
路傍の吸い殻
クリスマス ....
小さな小さな背中に大きな希望がゆったりと腰をかけていた
背中が大きくなるにつれて夢が育った
あるときは背中いっぱいに夢が満ちた
背中が現実に触れるにつれ希望と夢はとまどった
あんなにぴったりと ....
我々が望んだ西暦三〇〇〇年が遂に訪れた
病も
老いも
争いも無く
死から開放され
欲は無く
面倒は無く
不幸も無く
全てが完結した
法すら必要ない
科学が解決する
指 ....
白癬菌を死滅させるために
氷点下の街を
裸足で
「わーっ!」って言いながら走り回った
赤信号だって構わなかった
「わーっ!」って言えば
大丈夫な筈だった
4トントラックと鉢合わせした ....
私の間違いだった
こうして横になればわかる
じんわり沁み沁み肝臓の痛み
身体に悪いことばかりしてきたのだ
いや、この痛みはどこかで覚えがある
ああ、そうだよ
子供の ....
さよならなんて言わないよお
おおきな風が叫んでいる。
Auf Wiederse~hen
またね と 天から吹いてくる。
あおい風が
くびれた腰のトルソーをつれていった。
湖のまん中の ....
とろとろの眠気を抱いて通り過ぎた芝桜
一枚一枚の花びらが妙に奥ゆかしくて
ふわりと笑えるくらいには近づけぬ
頃合いを見計らい オール片手に君が
ゆっくりと瞳を合わせるように
擦れ違う 揺れ惑 ....
詩の材料が見つからなくてここしばらくは書けないでいた
詩を投稿することで何かが起こる事をずっと期待していたが
何の変化もなくて詩の無力を感じない訳にはいかなかった
孤独感に苛まれる日常から抜 ....
爆発的に増殖したウィルスは俺のからだの免疫系と闘い敗れた
彼らが勝ったとしても人類が死滅すれば増殖する場所がなくなるだけの話だが
そもそもウィルスには目的などないのだろう
俺たちがも ....
あまりにも不器用な僕が
あれこれ考えあぐねて
かけることばもなく
まだうつむいている君に
差し出せるのはオロナインだけ
こんなときは
オロナミンのほう
その意味も判らないけど ....
君は弱音を吐かない努力家だから、
みんな多くの期待を君に寄せてしまう。
君は、ひとりの人間に過ぎないのにね。
たくさんの荷物を持たされて、君は自由に動けやしない。
周りの期待なんか無視していい ....
水の中で生きている人たちが、水の中で何をしようとも、俺には届かない。
そうして、俺の脳は蝕まれていくので、野菜の摂取が必要。
腹は減る。
集団でいじめるな。
ずるいんだよ。お前たちは。
....
老人の顔に刻まれ皺は
都会の橋の上を歩く雑踏の記憶
人々はただ行き
ただ交わる
日常の乾いた吐息
笑いが消えた70年前の白黒の写真
そびえるビルのアスファルトは
感情を持たなかった
....
要は需要と供給の問題であって
買う方が悪いとか
売る方が悪いとか
そんな単純な問題じゃないんだよ
薬だって、身体だってさ
でもね、水虫ジュク夫
おまえの自称詩は別だぞ
そもそも需要が ....
別に天国の歌声に耳を奪われている訳じゃない
地獄の底から湧き上る苦悶の呻きに眠れない訳でも
聞いているのはこの世界 尽きることのないお喋りと
拮抗しながら 解かれて往く 形あるものの軋み
....
空の写真を 無断で撮る
それをSNSに 無断掲載する
有名キャメラマンが開く 写真展
会場の壁を埋めつくす 空 空 空
そのときも 空にギャラは
支払われない
空は ユーティリティプレ ....
「ああ、どうも。」
「あなた、菅原さんから、あなたのスキなモンブランいただいたの。」
「ああ、それはそれは。」
「冷蔵庫に、あなたの分、四角いタッパに入れてありますから。」
「 ....
開けてみよう 思いっきり
見えるものは 感じるものは
姿 形 香り 音
開けてみよう 躊躇なく
それだけの 自信を養い
歩んできた道のり
一歩踏み ....
○年寄りは
特に異状ありません
と言われと不安になる
○年寄りは
年そうおうです
と言われると安心する
○年寄りは
昔のことを聞くと
喜ぶ
○年寄りは
砂糖がいっぱ ....
誰かの悪口を言う人は嫌い
唇が歪んで
涙で滲む視界よりも
もっと酷い景色を
雨樋越しに
押し付けられるかのような
不快感が あるから
愚痴っぽく火照った頬に
スコールの粒ひ ....
空は
永久無料のアートだと
思っており
事あるごと
とくに
金のないときは
しょっちゅう
見上げた
きのう 空の神さまが
ずぶ濡れで
訪ねてきて
いや、さいご
身体で払 ....
sと上野で会った私
私はsと ただ カラオケに行くためだけに
ヨドバシカメラのオーディオコーナーの
真ん中あたり 彼のそこで私を待っていた3Fにいた
彼のいつもと変わらない出で立ち
....
空がとても冷たそうで
触れたくなって
腕を伸ばしてみるけれど
届かなくって
指も思い切り拡げて
踵もあげて
ジャンプもしてみるけれど
届かなくって
あきらめきれなくって
あきらめられ ....
脳が軟らかすぎて
耳と鼻から
流れ出てしまいそうなとき
朝の結露した窓を
人差し指でなぞる
「川」
唯一覚えている文字は
水滴とともに
もっと長い流れになって
やがて消えて行 ....
途方にくれて 貴方に縋る夜は
とうめいな記憶に 全てが解けて
まるで 何もなかったかのように
ただ 涙だけが 止め処なく溢れる
消えることのない 痛みと
癒えることのない 貴方とを
....
追い風が有利とは限らない
向かい風が不利とは限らない
スキージャンプでは
ウインドファクターとして
追い風は不利なので加点される
向かい風は有利なので減点される
....
お腹が空き過ぎて、猫が踊る。猫が踊る。
トイレを我慢し過ぎて、猫が踊る。猫が踊る。
締め切り前に、猫が踊る。猫が踊る。
上司の駄洒落に、猫が踊る。猫が踊る。
((最近私は、猫の鳴 ....
腰まで雪に埋まり
全身で空を指す暗緑色の矢印
風に翻弄されないしなやかな直立
透明を深める濃い青の奥から現れる
最初の星屑に
放射冷却を告知する
耐えているのではないが
嗤 ....
若いときはばちーんととめて封じておけた嫌なことや嫌な記憶
最近はゴムの紐が緩んだせいか
なかなか御し難い
皿洗いの時とか特に
あの時のあれよくよく考えたらまじ腹立たしい
むむむーな時に
....
お控えなすって
ご当家の 軒先の仁義 失礼でござんすが お控えなすって
障子より目玉だけ出しておられる お坊ちゃんお嬢ちゃんも お控えなすって
わたくし生国は 大海原 水界のはてに発します
....
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