浪を映した鏡の穴が
さらに空から遠去かるとき
六百三十五秒の結婚
草のはざまに満ちる声
月と痛みと錯視の夜に
左目だけが吼えつづけている
緑と黄緑の静かな境いめ
....
死にかけている気がして電車から降りる。何が、といっても明言はできないけれど、自分か他人か、その両方か。膝の裏に氷をつけられたような心地で駅の階段を上って改札を出ると、廃ビルの上に青褪めた月が貼りつき、 ....
絞首刑は
空中浮遊には通じない
最後の最後で
空飛んで逃げるのではないか
そう信じていた
しかし、アッサリ
おっちんじまったところを見ると
ははーん、さてはアイツ
空飛べなかったん ....
さっきまで明るかった空が暮れてゆく。
家路へと急ぐ人達に紛れ込み、今日も一日が終わろうとしている。
暗がりの中、明かりが灯された電車の中で私は孤独だった。
誰かと話したい訳ではなかっ ....
七月になり暑さが増す
梅雨を押し退けて
七夕の日は晴れになる
みんなの気持ちが一つになり
晴れを引き寄せているのか
多分そうなのだろう
短冊に書いた願い事
子供の頃毎年書いて ....
雨が降るのは今夜がいい
明日はどうぞ降らないで
晴れなくてもいい
灰色の雲が空を覆っても
光の影さえ見えなくても
それでもいいから
どうぞ明日は雨を降らさないでおくれ
そのた ....
靴下は靴の中に履くのにどうして靴の下なのだろうか
年下は年が若いだけなのに何が下回っているのだろうか
軒下は屋根の下なのにどうして外なのだろうか
突然の雨で入った軒下で
年上の女 ....
ルーズにこんがらがって
筆箱は本棚の二段目
トローチはテレビの下のラック
レターセットは引き出しに
昨日の夢は枕カバーと
洗濯籠のなかで眠っている
「明日も雨」と天気予報
家を揺らす ....
高速が通行止めになると下道に車があふれた
あふれたというより詰まって滞った
会社のまえの普段こまない道までが車車車だ
命にかかわる雨だとか
雨で死ぬために生まれてきた訳では ....
初恋に魂をとられていた
急に走り出したら
慣性の法則が降ってくる
大雨が小休止したあとに
虫の音がしている
生きて潜んでいたんだね
平成のうちに死刑を執行したか ....
マコガレイのような夜だな、と言うので、適当に相槌を打っていると、まったくそのような夜が坂下から這い上がってきて、一帯はみるみるうちに水浸しになり、頭の上では海星が暗い血の色をして、あるいはそれが死神の ....
全部流してく 流れてく
感情 いのち モノ あたし
すべて止まる
無力さ
神の采配
もやがかかって目が見えなくなる
けど聴こえる泣いている音、気配
赤く光るカフェのライトが沈 ....
電気ショックで
ほんの一瞬
まともになったかと
思いきや
次の瞬間絶命している
壮絶な死に方を
自称詩人に望むのだが
そんな低確率を射止めるほど
特別な存在ではないから
奴等は自称詩 ....
家一軒だけが消えた場所は
真四角く切り取られたかのようで
三方は静かな住居に囲まれている
そしてさらに、後ろは山脈
この沈黙は三方どの面も硬直しているからだ
街灯は影を作れども
この場所に ....
寂しい夜も、悲しい夜も、眠れない夜もあるけれど、夜がなくなればいいなんて思わない。
だって夜がなかったら、空でたくさんの星が瞬いていることに、気付けなかっただろうから。
遠くにも光があることを、世 ....
白いそよ風が
天まで届く
その間に割れた
空気の音が
鈴と重なって
リンリンと鳴る
透明な自傷行為
のように
ガラスの体を
傷付けながら
あなたは何を
刻んでいるのか
....
大きな手を
広げて
迎えてくれる
夏の雲と
緑に溢れた
夏模様。
夏色をにぎりしめて
笑いあったり
ふざけあって
波しぶきのように
弾ける
....
小さな情熱が冷めないように
有能なプレゼント選びたくて
迷うことがたくさんあるから
都会の森はネオンで出来ている
いらっしゃいませと聞き取りにくい
店員の声は遥か遠くの
母国語をしゃべ ....
それは雨の手触り
あたたかく
なめらか それでいて
素早く染み込んでいく
やさしい悪意
油断しているうちに
張りつき
腐らせていた
雨
洗い落としてくれると思った
蕾のうち ....
たまに夢に出てくる居酒屋があって、さっきもそこに行ってきたところ。大勢の手品師が町外れのソーラーパネル建設について話す中、自分はうつむきながら卓子を拭いている。あそこには昔からきれいな花畑があって、う ....
生野菜を黙々と食べる
何もかけないで
ひとときは草食の動物になった気分で
ファミレスの外には降る雨
濡れる草原を見つめるような眼で
心につきまとうさびしさを一緒に連れながら
サラダ ....
朝の職場には苦い光が満ちている
クーラーだけが職場を奏でる音楽だ
夢も幻もどこかに隠れていそう
何もかも柔らかく統合され
一日を彫り上げようとしている
朝の職場には清潔な真実がある
パ ....
明後日にはたくさんの絶望とたくさんの奇跡がある
明日に何が起こるか分からないんだよ、当たり前さ
そのさらに明日なんだから
明後日をどうにかできるなんて
とてもおこがましいよ、君
泣きたい ....
子供が飢えた狼は好きなら保父にはなるな言いました
切り刻むのがジャックは好きなら外科医になるな
言いました
歌うのが好きならばカナリアは歌手にはなるな篭の中で
言いました或いは鳴きました
不 ....
あなたが笑顔でいてくれてることに
ありがとう。
今日もこうして
生かされてることに「ありがとう。」
今日も「感謝」ができることに
ありがとう。
今日の風に乗って
....
笑顔を作る
今日も笑顔を作ります
どんどんつくる
何があっても
とりあえず
笑顔を作る
悔しくたって
みじめだって
傷ついたって
イライラしたって
笑顔を作る
ものすごい嘘つき ....
いい大きさの箱の中にかぶと虫を詰める仕事をしている。それは静かな夜明けから始まり、広い屋敷の片隅の部屋でたんたんと続けられる。まれに庭から吹き通る風にあおられて、箱が倒れて中身がこぼれてしまうが、また ....
140文字なんかじゃ語りきれない何かを
ありったけ全部ぶちこんで叩きつけてみろよ
からっぽのままで終わった
生乾きの青春みたいな10代も
何通りもの終わらせ方を
シミュレーションするだけ ....
怒りよりも先に
懐かしさを
感じてしまった!
守護、天使。東から陽子が差してくる。
宇宙、素粒子。静謐な数学が始まる。
絶対、相対。善悪の幽体みたい。
かたい、らたい、パウロ、
仏、かくかたりきが、かたくりこ。
あくび、しゃっくり、 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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